月の心理占星術

遠い昔、夜空の星を観測する人々がいました。
彼らは天空に天翔ける羊や正義を量る天秤、
S字型をした蠍の姿などをありありと描き、
現在、星占いで使われている12の星座を生み出しました。
現代を生きる私たちの頭上には、
当時の人々が見た星空がそのまま広がっています。
天に星があるように、私たちの中にも固有の星座があり、
夜空の星が動けば、私たちの心模様も移ろいます。
 星占いは、天の星々と「私」をつなぐ試み。
今宵は星空を見上げてみませんか。
夜空を彩る星たちは、実にシンボリックな言葉で、
「あなたの物語」を語り始めます。


今月の星占い(2020.03.26~2020.04.25)

※こちらはご自身の太陽星座をご覧ください。

  • 牡羊座

  • 牡牛座

  • 双子座

  • 牡羊座「自分は何と戦っていたのかを考えてみよう」
    春分を過ぎると牡羊座の季節です。この1か月は様々なことに怒りを覚えることが多かったでしょう。でももっと本質的な部分で、自分は何に“怒り”を感じる人間かを考えてみませんか。内なる闘争心は、牡羊座に備わったすばらしい資質でもあります。それが行動するエネルギーにもつながっているはず。土星が動いて、閉塞した状況に明るい兆しが見え始めます。仕事に関するある種の諦観が、あなたを自由にしてくれるかもしれません。心機一転、新しいことを始めるよい機会です。環境を変える試みも積極的に。ふと頭をよぎる閃きは、暗闇に飛ぶ一本の矢。人生は一度きり。先の見えないことに自分の人生を賭けてみるのも悪くありません。

  • 牡牛座「心と体に効く“お守り”を見つけよう」
    急な予定変更は、牡牛座の最も苦手とするもの。3月は日常生活の平穏が崩されて、いまだに心と体がついていけない人もいるはずです。新型ウィルス感染対策にもつながる毎日の儀式を考え、それを粛々と行うと気分も安定してきます。江戸時代の妖怪「アマビエ」が静かなブームですが、不安を退散させるあなた独自の“お守り”を見つけてみては。またもっと大きなスパンで仕事や人生を考えてみるのもよいでしょう。昨年から自由と革命の星・天王星の影響を受ける牡牛座。天王星は「慣れ親しんだシステムを壊してみよう」とあなたを促します。約5年かけて、仕事やライフスタイルをよりよく変えていく計画を立てましょう。牡牛座で新月になる4/23はその第一歩を踏み出す最良の日です。

  • 双子座「友情とは二つの肉体に宿る一つの魂である」
    このメッセージは古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの言葉。世界が危機的状況に陥っている今こそ、生き方や価値観を共有できる友だちの存在は貴重です。ネットを通じてあるコミュニティと親交を深めたり、社会的に意義のあることをやっている人々とつながったりするよい機会です。リモートワークをしている人、効率よく仕事が出来る工夫をあれこれ試してみて。思慮深さを授ける土星が双子座に力をくれます。今まで行き当たりばったりで生きてきた人、専門知識や技術を身につけるためのアクションを。これから約2年かけて何らかの資格を取るのもよいでしょう。友だちの存在は、あなたの人生を豊かに彩ります。4月は旧友と集い、友情を復活させるのもおすすめ。

  • 蟹座

  • 獅子座

  • 乙女座

  • 蟹座「アクセルとブレーキをうまく使い分けよう」
    あなたに緊張と抑圧をもたらしていた星が移動しました。たとえ状況は変わらなくても、「考えてもしょうがない。なるようになる」と腹がくくれるようになります。仕事にスポットライトが当たる時期。困難の中にチャンスが横たわっています。人の思惑を気にせず、一気にアクセルをふかしてみるのも一興。様々な制限のある中でも、出来ることはきっとあるはず。特に営業や、あなた自身の活動を周りに知らしめるアクションを起こしましょう。ここでいうブレーキとは何か?対人関係で妄想が芽生えたら、一気にブレーキを踏むことです。これは疑心暗鬼に陥らないためのおまじない。ネガティブな妄想が頭をもたげてきたら、屋外に出て散歩などしてみるとよいかも。

  • 獅子座「未来に向けて小さな種を蒔いてみよう」
    ハードな現実を生きている人もいるでしょう。しかし想像してみることはできます。数年経ったときに、2020年の春がターニングポイントだったなと。責任と重圧の星・土星が対宮に入り、困難だとわかっていても何かを引き受けざるを得ない期間です。約2年かけて、それぞれの目標を達成するべく、小さな一歩を踏み出してください。幸い、この期間は輝く太陽と水星が味方してくれます。海外とつながり、いずれ新型ウィルス感染による世界的な危機が収束したときに始められることの準備をしておくこと。再びやってくるインバウンド需要に備えて、新しい仕組み作りをしておくのもアイデア。またあなた自身が海外で何かを学ぶための準備も。新月4/23前後は、新しい出会いもありそうです。

  • 乙女座「“探偵の目”で世の中を見てみよう」
    外に向けて何かを発信する時期ではありません。物事をよく観察することで、洞察力が深まります。「あの人はなぜ、こんなことをするのだろう?」と、人の行動の背後にある動機を考えてみる。すると普段とは違う「何か」が見えてくるかも。また物事を広く浅くではなく、ひとつのことを徹底的に調べてみるのもおすすめです。我が家の家系を調べてみると、妙に共感できる人物が浮かび上がってきます。親や親戚に昔語りをしてもらうとよいでしょう。家族の歴史を知るよい機会でもあります。そこから今後の生きる知恵や勇気がもらえる予感も。この時期に持ち込まれるビジネスの話は、見通しが甘いので安易に乗らないほうが賢明です。金銭的に折り合わない話は、無理に進めないことです。

  • 天秤座

  • 蠍座

  • 射手座

  • 天秤座「人は他者を通じて“私”になっていく」
    世界が平和だったときには伺い知れなかった、周りの人々の本音や本質が見えてくるとき。このメッセージはある哲学者の言葉です。自分について考えるとき、比較対象として他人の動向や考え方が参考になります。つまり他人を鏡として、自分の在り方を模索したい期間です。人間関係は不思議なケミストリーを生みます。できればあなたのよい面や未知の可能性を引き出してくれる人と、一緒に何かをやる機会を作りましょう。協調と共存は、この時期の大きなテーマです。火星と土星が吉角になるので、ハードワークにも耐えられます。仕事でも本気を出してみると、それなりの結果が出せるはず。健康面では免疫力を上げる食べ物を、積極的に摂りましょう。

  • 蠍座「好きなことより、人から求められることを優先しよう」
    自分の欲求や熱い思いはひとまず置いて、周りの要求に応えることです。今は壮大な夢を描くより、目前の職務を全うすること。そして余力があればボランティア活動、つまり社会に奉仕できることを見つけてそれを行ってみましょう。仕事でいうとプロ意識を持てと、星はあなたにメッセージを送ります。行動自粛などのルールをゲーム感覚で楽しみつつ最善を尽くすと、仕事のスキルも上がります。また自宅で出来る筋トレなどの運動を続けると、精神的にもポジティブになります。新月となる4/23前後は、会いたい人に会えるようにアポを取っておきましょう。新しい出会いの可能性も。4月中は予想もつかなかったことがきっかけとなり、親や兄弟とけんかになるかもしれません。

  • 射手座「あなたの中に住む“永遠の子供”と遊ぼう」
    だれの心の中にもいるインナーチャイルド。それは創造力の源泉です。新型コロナウィルスの蔓延で仕事のこと、お金のことなど悩みは尽きませんが、星は「ちゃんと遊べ」とあなたを促しています。戦時下においても文化や芸術が息絶えることはありませんでした。人間の創造力は無限大。今だからこそ思いつくアイデアや企画、表現を、何らかの形で発信していきましょう。独立や起業の機運も高まっています。人件費や維持費を極力減らしても機能する、新しいビジネスモデルを考えてみるよい機会です。また射手座は閉所恐怖症の人が多いといわれます。狭い空間を抜け出して、大自然や宇宙の広さを感じられる場所に出かけるのもおすすめです。獅子座との交流にもツキあり。

  • 山羊座

  • 水瓶座

  • 魚座

  • 山羊座「何事も慣れ過ぎると奢りを招く」
    約2年半、山羊座に責任と重圧をもたらした土星が抜け、解放感を味わう人もいるでしょう。と同時に、約一か月続く新型ウィルスによる様々な行動規制に対し、自己認識が甘くなる期間でもあります。ウィルス対策に限らず、デマやフェイクニュースなどにもひっかかりやすくなるので気をつけて。手慣れた仕事ほど丁寧に。いつもやっていることだからと手を抜くと、大きなミスにつながります。また仕事を優先して、家族を後回しにする傾向も。家族と心をひとつにすることで、乗り越えられる問題もあります。運気は上向きになったものの、金銭面では暗いニュースが多いとき。損失を埋めるのは時間をかけて、が鉄則。一気に挽回をめざすのはハイリスクです。4月下旬には未来の可能性が広がるようなニュースも。

  • 水瓶座「人があなたに抱いているイメージを崩してみよう」
    公転周期が約29年の土星が水瓶座に入座。これから約2年半かけて水瓶座をゆっくりと進みます。土星は責任や制限を表す惑星で、人生に数々の試練や課題をあなたに突きつけてきます。今後、約2年かけてある目標や課題を達成した暁には、目に見える報酬や成長というご褒美を与えてくれます。あなたがなりたいものになるための戦いが、静かに幕を開けるでしょう。春分以降約一か月の間に、人が抱く「あなたってこういう人」というイメージを覆してみてください。意外な趣味や特技のある人は、人前で披露するのもおすすめです。さてかつて土星が水瓶座に入ったのは1991年。その頃のあなたに起こった出来事を思い出すと、これからの生き方が見えてくるはずです。

  • 魚座「速度を上げるばかりが人生ではない」
    新型ウィルスの世界的流行は、多くの人々の穏やかな日常を一変させたと思います。いまだ終わりの見えない展開にどのような指針を持てばよいのか、悩む人も多いでしょう。このメッセージはインド建国の父、ガンジーの言葉。今まで残業も当たり前という生活をしてきた人は特に、急行列車から鈍行列車に乗り換えるように、少しペースを緩めてみたい期間です。たとえば作業の速さを競うのではなく、丁寧さを誇りにしたいもの。何事も「質の高さ」を求めていくその先に、美しい景色が見えてきます。五感を意識して暮らすのも大賛成。睡眠環境を整え、肌触りのよい寝具で眠る幸せを満喫すると、心身に力が湧いてきます。本業以外の副業を始める好機。ささやかなお小遣い稼ぎから始めてみて。


英国王室のファミリーダイナミクス

 出生時の月星座が意味すること、また12星座別の月の性質について説明してきましたが、この章では太陽星座と月星座が織りなす家族間のダイナミクスについて、具体例を挙げながら解説してみます。ファミリーダイナミクス(家族力動)とは、家族のメンバー間に働く目に見えない力のようなものです。私たち個人の行動は、親や子、兄弟といった家族の影響を無意識に受け、またそれらの相手にも影響を与えて様々なドラマを生み出します。
 筆者が占星術を学んだ英国占星術協会では、英国王室の歴史を占星術で読み解く講義もあり、王室メンバーのホロスコープが公開されているという事実にちょっとびっくりしたものです。たとえば16世紀に君臨したエリザベス1世がスペイン無敵艦隊を破るきっかけとなったのは、その背後にジョン・ディーというお抱え占星術師がいたからだという話も有名です。エリザベス1世の治世には、ウィリアム・シェイクスピアも活躍しており、当然、彼らのホロスコープを知る機会にも恵まれました。シェイクスピアはその著作の中で次のような科白を残しています。

 やはり星の力だ、
 天上の星のみが人の気質を左右しうる
 【福田恆存訳「福田恆存飜譯全集」(文藝春秋)】
 -ウィリアム・シェイクスピア『リア王』より

 ……ブルータス、罪は星にあるのではない、
 われわれ自身にあるのだ、人の下風に立つも立たぬもな。
 【福田恆存訳「福田恆存飜譯全集」(文藝春秋)】
 -ウィリアム・シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』より

 さて英国民だけでなく、世界中に王室ウォッチャーがいる英国王室の人々。彼らの生年月日や出生地、そして出生時間が公開されているので、現在の女王以下、4世代にわたるファミリーダイナミクスを、彼らの太陽星座と月星座から読み解いてみたいと思います。王族という一般庶民からはかけ離れた存在である人々ですが、母と息子や娘、夫婦、父と息子、また息子の結婚相手(嫁)と義母(姑)といった、私たちにとっても身近な関係性が浮かび上がります。一般人と何ら変わりない人間の営みが王室の人々にもあり、彼らの間で起こる出来事やエピソードは、私たちに共感や示唆を与えてくれるように思えます。
 まずは現在、英国王室で在位最長記録を更新し続けるエリザベス2世(以下、エリザベス女王と記す)を筆頭に、チャールズ皇太子やその2人の息子たち、ウィリアム王子とヘンリー王子の家族、全12名のホロスコープをもとに、それぞれの太陽星座と月星座を表にしてみました。

〈英国王室メンバー、12名の太陽星座と月星座〉

エリザベス女王
☉ ♉牡牛座()  ☽ ♌獅子座(

チャールズ皇太子
☉ ♏蠍座 ()  ☽ ♉牡牛座(

元ダイアナ妃
☉ ♋蟹座 ()  ☽ ♒水瓶座(

カミラ夫人
☉ ♋蟹座 ()  ☽ ♋蟹座 (

ウィリアム王子
☉ ♋蟹座 ()  ☽ ♋蟹座 (

キャサリン妃
☉ ♑山羊座()  ☽ ♋蟹座 (

ジョージ王子
☉ ♋蟹座 ()  ☽ ♑山羊座(

シャーロット王女
☉ ♉牡牛座()  ☽ ♎天秤座(

ルイ王子
☉ ♉牡牛座()  ☽ ♌獅子座(

ヘンリー元王子
☉ ♍乙女座()  ☽ ♉牡牛座(

メーガン元妃
☉ ♌獅子座()  ☽ ♎天秤座(

アーチ―王子
☉ ♉牡牛座()  ☽ ♊双子座(


それぞれの太陽星座と月星座を記し、12星座の4区分(エレメント) を色分けしてみました。
まず12星座を陰陽で分ける2区分に注目してください。
陽の宮(男性宮)と呼ばれるのはの星座。
 陽の宮は能動的で自己表現力があり、男性原理に対応します。
陰の宮(女性宮)と呼ばれるのはの星座。
 陰の宮は受容的で自己抑制傾向にあり、女性原理に対応します。


 エリザベス女王以下、ここに挙げた英国王室メンバー12名のうち、なんと11名の太陽星座がすべて地の星座か水の星座(女性宮)であり、2020年3月をもって王室を離脱することになったメーガン元妃だけが異質な獅子座(火の星座で男性宮)ということがわかります。
 王室という歴史と伝統を紡いでいく人々の太陽星座が、能動的に自己表現をする男性宮(火と風の星座)ではなく、受容的で自分に課せられた運命を受け入れ、引き継いでいく女性宮(地と水の星座)に多いということがわかります。
もちろん英国の長い歴史の中には、太陽星座が火や風の星座だった君主もいます(映画『英国王のスピーチ』の主人公、エリザベス女王の父親であるジョージ6世は射手座でしたが、在位期間は短い)。ただ私の知る限りでは、16世紀テューダー朝の王、6度の結婚によりカトリック教会からイングランド国教会を分離させ、イギリスにおける宗教改革を行ったヘンリー8世が蟹座、その娘でテューダー朝、最後の女王として広くその名を知られるヴァージン・クイーン、エリザベス1世は乙女座と、共に女性宮をいただく君主がなぜか印象に残っています。

 それでは現在の英国王室を形成する人々の、個々の性格や気質、そして家族間で働くダイナミクスを、それぞれの太陽星座と月星座の組み合わせから見ていくことにしましょう。


英国民の心のよりどころ‐エリザベス女王

 イギリスの国歌「God Save The Queen‐ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」(女王陛下万歳)の歌詞には、
神よ、我らが慈悲深き
女王陛下を守りたまえ、
勝利・幸福そして栄光を捧げよ
御代の永らえんことを

 というくだりがありますが、確かに英国はエリザベス1世、ヴィクトリア女王、そして現在のエリザベス2世と、女王の治世下に発展と安定を築いてきました。エリザベス2世は世論調査においても「君主中の君主」と人気が高く、在位68年目(2020年現在)と最長記録を更新し続けています。そんな女王人気を支えているのは、君主としての強い責任感と揺るぎない正義感、そして内側から光り輝く女王としての風格です。
 1926年4月21日、エリザベス女王はロンドンのメイフェアで生まれました。出生時の太陽星座は牡牛座、そして月は天の獅子座で輝いていました。当時はだれもが将来、彼女が王位を継承するとは思っていませんでした。運命のいたずらか、叔父のエドワード8世が離婚歴のある米国人シンプソン夫人と恋に落ち王位を放棄、父親のヨーク公が即位してジョージ6世となります。当時、エリザベスはまだ10歳でした。彼女は王位継承者となり、英国が帝国を維持する力を失うことになる第二次世界大戦を乗り越えて、1952年、女王として即位します。まだ25歳という若さで、大英帝国崩壊後の英連邦と国民の心をひとつにするという、とてつもなく重い責任が彼女の肩にのしかかることになります。即位以来、世紀をまたぎ現在に至るまで、エリザベス女王は気の遠くなるような長い年月、国家君主としての責務を全うしてきました。それでは女王の太陽星座や月星座を参考に、彼女の人生や家族のとの関係性を見ていきましょう。

 占星術でいうと牡牛座は大地に根を張る如く、着実にしかも安全に歩を進める星座です。どの星座よりも保守的で、“今あるものを引き継いで守る”能力に優れています。英国王室の長い歴史の中で、在位最長記録を誇るエリザベス女王が牡牛座だというのはなかなか象徴的です。牡牛座の性格は外柔内剛、つまり物腰柔らかく穏やかでありながら、実は頑固で融通に欠けるのが特徴です。また音楽や芸術を愛し、安楽な生活を好む傾向もありますが、戦時下に青春時代を過ごした女王は、質素・倹約を身につけたといわれています。
 出生時の月の星座は、普段の生活における習慣的な態度や振る舞いを表します。月は子供時代に条件付けされた無意識的な反応のパターンであり、性格というよりもっと本能に根ざした性質を示します。エリザベス女王の月星座は、百獣の王・ライオンに象徴される獅子座に位置しています。月が獅子座にあると、その出自に関わらず「自分は特別である」という感覚を子供の頃から感じて育ちます。無邪気で自己顕示欲があり、明るく情熱的で、正義感が強い星座です。数あるエピソードの中で、獅子座の月を最も顕著に感じたのは、ロンドンオリンピック開会式の映像です。監督ダニー・ボイルの演出は、『007』俳優のダニエル・クレイグと共にバッキンガム宮殿からヘリコプターに乗り、オリンピックスタジアムにパラシュートで飛び降りるというものでした。「女王陛下とジェームズ・ボンド」というこれ以上ない英国が誇る象徴を、世界中にアピールする心憎い演出に、女王は快く協力したといわれますが、案外、楽しんでいたのではないでしょうか。獅子座の月はエンターテイナーでもあるからです。
 さて君主としての顔ではなく、一人の家庭人や母として、彼女はどうだったのか。それは皇太子チャールズのホロスコープと共に見ていくことにしましょう。


複雑な内面を抱え、母の面影を追い求めた人生―チャールズ皇太子

 近年では再婚したカミラ夫人と仲睦まじいツーショットを取られることも多く、ダイアナ妃の忘れ形見の王子たち家族とも、自然に交流する姿が印象的なチャールズ皇太子。しかしその人生は女王陛下の息子として育ち、常に自分のよき理解者や愛する女性を求め続ける旅でもありました。
 1948年11月14日、エリザベス女王の第一子・長男としてバッキンガム宮殿で誕生。太陽星座は蠍座、月星座はその対極にある牡牛座で、ほぼ満月に近い生まれです。感受性が鋭く洞察力に優れる蠍座は、激しい感情を内に秘めた星座です。秘密主義でそう簡単には人を信じない傾向も。対する月は牡牛座にあり、幼少時は人懐こく愛らしい王子だったことでしょう。牡牛座の月はとても感覚的で、どの星座にも増して母親との密接なスキンシップを求めます。母親の関心が自分に向くと安心し、「お母さんは自分のもの」という所有欲が満たされます。牡牛座の月にとって、愛情表現とはそばにいて触れ合うことに他なりません。しかしその母は彼がまだ3歳のときに女王として即位し、英国民すべての、母性の象徴となりました。
 ちなみに太陽星座である蠍座は、情緒的な水の星座です。スキンシップのみならず、「大切にされている」「愛されている」と実感できる感情的な心の交流を求めます。ところがエリザベス女王の出生時の土星は蠍座にあり、息子の豊かな感情表現を無意識に抑圧する役割を果たします。また女王の月は男性的な獅子座にあり、「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」との言い伝えのように、愛があるからこそ息子にわざと試練を与えて成長させる方法を選びがちです。それは息子に対し、「いずれ王となる身、強い男に育って欲しい」との願いを込めた月・獅子座ならではの愛情表現です。子ども時代の皇太子は、自分を取り巻く様々な大人たちの間で猜疑心を募らせ、思う存分母親と触れ合いたいという牡牛座の月の欲求は押さえこまれたまま成長したように思われます。そして思春期ともなればその欲求の矛先は、母親から恋愛相手へとシフトします。
 確かに女王の月星座・獅子座と、皇太子の月星座・牡牛座は、占星術の相性でいうスクエア(90度の不調和角)で、お互いにすれ違った愛情表現をしがちです。しかし二人の仲は決して悪いわけではないようです。ひとつ微笑ましいエピソードがあります。皇太子が18歳のとき、エリザベス女王がアストン・マーティンの工場を訪問し、同社の「DB8ヴォランテ」を誕生日プレゼントに贈ったのです。これは女王の太陽と皇太子の月が共に牡牛座にあり、モノを通じた愛情表現が功を奏した例でしょう。皇太子はその後もアストン・マーティンを愛用し、同社にロイヤル・ワラント(御用達ブランド指定)を与えています。
 また皇太子は歴史的建造物の保存や現代建築そのものに関心があるそうですが、立体的な美への興味や伝統を守る姿勢も、牡牛座の月の特徴です。そして皇太子がハーブ療法を始めとする代替医療や、オーガニック食品を強く支持しているという話を聞くと、「安全」や「安心」を求める牡牛座の月の影響と、妙に納得してしまうのです。太陽と月が正反対の星座に位置する人は、自分の中の相反する性質に揺れ動き、内省的かつ思索的になります(特に太陽も月も女性宮の場合)。太陽星座が望むことを月星座が否定したり、また月星座が幸せだと感じることを太陽星座が退屈に思ったりして、常に複雑な感情が心の中で渦を巻いていて、満足が得られにくい組み合わせです。
 若い頃には複数の女性と浮名を流したチャールズ皇太子ですが、彼の人生に大きな影響を与えた二人の女性(共に蟹座)についても調べてみましょう。


2人の蟹座の間で揺れ動く心―ダイアナ妃とカミラ夫人

 占星術では太陽や月だけではなく、さまざまな惑星の動きを重要視します。中でも運命の星と呼ばれる土星は、制限、抑圧を表す惑星で、人生に数々の試練や課題を与えます。出生時の土星の位置に再び土星が帰還するのは、約28~30年後で、それをサターンリターン(土星回帰)と呼んでいます。
 1979年はチャールズ皇太子にとって、正にサターンリターンと呼ぶにふさわしい出来事がありました。幼少時よりまるで父親のように慕っていた元インド総督で海軍元帥、マウントバッテン卿が、IRA暫定派の仕掛けた爆弾を受け死亡したのです。おりしも皇太子の出生時の土星に、一周した土星が回帰した年で、皇太子は大きなショックを受け、悲しみに暮れた日々を送っていました。サターンリターンの期間は、自分の能力不足に対する嫌悪感、親への愛着や反発などを自覚して、気分の落ち込みや幻滅を感じることが多いのです。これは心理的な子供時代の完全な終わりを告げるベルが鳴り、苦しみを抱えながら真の大人としての成長を歩み始める時期でもあります。
 その翌年、チャールズとダイアナは運命的な出会いをします。そのときにダイアナが「あなたの寂しさは理解できる。あなたにはだれかが必要です」と慰めた言葉に皇太子は感銘を受け、2人は交際することになります。


世界中から愛された悲劇の王妃―ダイアナ妃

 チャールズ皇太子は蠍座、ダイアナは1961年7月1日、イギリスのサンドリンガム生まれの蟹座、共に情緒的な水の星座です。そしてチャールズが慕ったマウントバッテン卿も蟹座だったことに、不思議な運命を感じます。水の星座には、人の悲しみや苦しみを自分のことのように感じる共感能力があるのが特徴です。相手に対する「思いやり」「同情」が、やがては「愛情」に発展。2人の心は通じ合い、後にチャールズは彼女に求婚。1981年の夏には盛大な結婚式を挙げ、ダイアナは妃殿下となります。
 当時私はロンドンに住んでいて、タブロイド紙を賑わす占星術家たちの2人の相性判断などをよく目にしたものです。一般的な占星術では、蠍座と蟹座はお互いにシンパシーを感じるよい相性です。しかし2人の月星座の組み合わせは、やがてはすれ違うお互いの心模様を暗示していました。
 先に説明したように皇太子の月は地の星座の牡牛座。対するダイアナ妃の月は風の星座である水瓶座に位置し、スクエア(90度の不調和角)を形成。ダイアナ妃を描いた伝記などを読むと、チャールズの音楽や狩猟といった保守的な趣味にダイアナ妃は理解を示さず、また窮屈な王室のしきたりにも馴染めなかったようです。保守的で安定・継続を求める牡牛座と、自由と革新、解放を求める水瓶座とは相容れない組み合わせです。生活を共にすることで初めて見えてくるのが、月星座の重要性です。月は日常的な振る舞いや、その人にとって何が“快適で安全”か、またどのように愛されることで幸せを感じるかを表します。単に「好き」という感情だけではどうにもならない結婚生活の難しさ、それは生活を共にすることで見えてくる、お互いの月星座の性質が暗示していました。
 それでも2人は結婚の翌年、ウィリアムを、またその2年後にはヘンリーと2人の王子を設け、幸せな結婚生活が続くと思われました。しかし徐々に2人の心は離れてやがては別居、そして離婚へと至ります。残念ながら義母であるエリザベス女王も、ダイアナ妃の苦しい胸の内を理解し、味方になることはありませんでした。女王の月は絶対王者の星・獅子座にあり、ダイアナの月星座・水瓶座とは、真逆の180度の関係。王室の伝統に異議を求める変革者の星・水瓶座を月に持つダイアナは、やがて王室内で孤立するようになります。それにしても3人の月星座は、女王(牡牛座)、皇太子(蠍座)、ダイアナ妃(水瓶座)と、12星座の3区分(行動様式を表す)でいうと不動宮に相当。一度決断したらなかなか方針を変えない頑固さが特徴です。それぞれがお互いに歩み寄ることはなく、1992年末、2人はダブル不倫の末、正式に別居し、1996年の夏の終わりには正式に離婚、結婚生活は幕を閉じることになりました。その1年後に起こったダイアナ妃の悲劇的な死については、世界中の人々が知るところとなります。世紀のロイヤルウェディングから16年、ダイアナ妃の葬儀は異例の「王室国民葬」となりました。葬儀の様子は世界中に配信され、チャールズ皇太子に付き添われて参列した2人の王子の姿が涙を誘いました。


沈黙を守り続けた世界最強の“プロ彼女”―カミラ夫人

 また正式離婚前の1995年に放送された、BBC番組のインタヴューで、ダイアナ妃は爆弾発言をしています。
「この結婚生活には3人の人間がいました。少し窮屈すぎますね」
 これは皇太子とカミラ夫人への渾身のカウンターパンチだったでしょう。紆余曲折を乗り越えて現在はチャールズ皇太子の妻となっているカミラ夫人は、1947年7月17日、ロンドン生まれの蟹座です(またもや蟹座!)。
 皇太子とカミラ・シャンドが初めて出会ったのは1970年代初頭。2人は惹かれ合い、交際がスタートしたといわれています。しかし数年後にカミラは皇太子の妹のアン王女と交際していた、社交界の人気者アンドルー・パーカー・ボウルズと結婚。そもそもこのボウルズが当初、皇太子にカミラを紹介したというエピソードもあり、手近なところでくっついたり離れたりする王族や貴族の恋愛お作法は、TVドラマや映画の世界に格好のネタを提供しています。
 しかし2人の友情とも愛情ともいえる深い結びつきは、後の英国王室を揺るがす最大級のスキャンダルに発展します。年上の、どちらかというと地味なカミラ夫人の、いったいどこにチャールズ皇太子は惹かれ、執着し続けたのでしょうか。カミラ夫人の太陽星座は蟹座ですが、実は月星座も同様に蟹座です。蟹座は母性を司る情緒豊かな水の星座で、皇太子の蠍座の太陽と親和性のある相性です。おそらくチャールズ皇太子は、何があっても彼を優しく受け止める年上のカミラに、幼少時代から求めてやまなかった理想の母親像を投影したのではないでしょうか。
 さらに詳しくホロスコープを見てみると、知性や思考方法を司る水星、愛情に関わる金星も蟹座にあることがわかります。また先に書いたようにエリザベス女王の土星が、皇太子の蠍座の太陽にプレッシャーを与え抑圧するのに対し、カミラの木星はチャールズの蠍座の太陽にポジティブさや自己肯定感を与えています。蟹座に集中する太陽、月、水星、金星が、内面に葛藤を抱える複雑な皇太子の人格をまるで母のようにしかと受け止め、発展と幸運の象徴である蠍座の木星が、「あなたはこのままでも大丈夫!」と自尊感情を育てる役割を果たしています。
 結婚前のカミラを知る寄宿舎学校時代の友人は、「カミラは楽しいことが好きな人でした。そしてお金持ちでよいお相手と結婚するのが最大の課題でした」と回想しています。仕事でキャリアを積むことに喜びを感じるタイプではなく、好きな人をサポートして、彼の“最愛の女性”になることこそ、太陽も月も蟹座にあるカミラの、人生を賭けた「お仕事」だったのかもしれません。ここで“最愛の妻”ではなく、敢えて“最愛の女性”と書いたのにはわけがあります。
 カミラの母方の曾祖母であるアリス・ケッペルは、エドワード7世(エリザベス女王の曽祖父)の長年の公妾にして最愛の女性でした。アリスは自分の愛妾としての立場をわきまえており、王妃にも一目置かれる存在だったといいます。カミラがこの曽祖母をことのほか尊敬していたという話が、まことしやかに伝わっています。カミラ夫人の在り方は、今風にいうと究極の「プロ彼女」といえるでしょう。交際中に自分の存在をSNSなどで匂わせたりせず、自分への悪口や下品なゴシップなどにも反論せず、ひたすら沈黙を守り続けて望みのポジションを手に入れたのですから。
 カミラのホロスコープに話を戻すと、少し本格的な解釈になりますが、蟹座に位置する太陽、月、金星、水星は、「秘密や隠されたもの」を表す第12ハウスに位置しています。「結婚」をテーマとする第7ハウスにはひとつも星がなく、愛情面では妻というより愛人向きの星回りです。ダイアナ妃の死後、カミラは「皇太子とダイアナ妃の結婚を壊した人物」として非難の的になります。ほぼ全英国民を敵に回し、「嫌われ者」の立場に甘んじますが、長年かかってチャールズ皇太子を支え続けました。その控えめな態度が功を奏し、やがては「価値のある王室のメンバー」として認められていくようになります。2人は2005年、ロイヤルウェディングではなく民事婚を選択。そして現在では王室伝記作家やコメンテーターたちをして「チャールズ皇太子はカミラ夫人を心から愛しています」と言わしめるまでになっています。カミラ夫人の人生は、いわば世界最強の「プロ彼女」伝説といえるかもしれません。
 月星座は日常の振る舞いに影響を及ぼし、生活を共にする上での相性を表すと書きました。チャールズの月は地の星座の牡牛座、カミラの月は水の星座の蟹座で、セクスタイル(60度の調和角)となり、穏やかな愛情を育める相性です。ひとつ面白いエピソードがあります。牡牛座の月はモノへのこだわりが強い配置です。皇太子は「無類のきれい好き」で、モノがあるべき場所にないと落ち着かない性格だとか。蟹座の月は心がハッピーであれば、部屋が散らかっていようが全く気にしないタイプです。カミラ夫人はときどき別宅に赴き、カジュアルな普段着に着替えて、好きなTV番組を見ながら思い切り羽を伸ばすと伝えられています。一緒にいるときはどこまでも夫を立て、時々上手に息抜きをする。それは何十年もの交際期間を経て、さまざまな困難を乗り越えてきたカップルの、結婚を健全に維持していくための知恵なのでしょう。


Back number(2020)

月の心理占星術【番外編】

Back number「各星座の月」(2019年)

 


岡本翔子(おかもと・しょうこ)
心理占星学研究家。ロンドンにある英国占星学協会で、心理学をベースにした占星術を学ぶ。英国占星学協会会員。占星術と料理、コスメ、旅などを組み合わせたコラムを『CREA』『美ST』『料理通信』『ESSE』などの雑誌連載を中心に執筆。また『完全版心理占星学入門』(アスペクト)、『「月のリズム」で夢をかなえるムーン・マジック』(KKベストセラーズ)、『占星学』リズ・グリーン著(青土社、鏡リュウジ共訳)、『月のリズムで暮らす本』『月の大事典』テレサ・ムーリー著(ヴィレッジブックス、監訳)『ハーブ占星術』エリザベス・ブルーク著(東京堂出版、翻訳・監修)など、著書・訳書多数。月の満ち欠けカレンダーを記し、月のリズムを生活に生かすヒントが満載のダイアリー『MOONBOOK』は、2004年から15年続く静かなロングセラーとなっている。またウェブマガジン『CREA WEB』(文芸春秋)にて『岡本翔子の日めくり MoonCalender』を連載。いずれも数多くのファンを得ている。モロッコの砂漠で見る月に魅せられ、一年の約2か月をマラケシュで暮らす。2010年より不定期に三越旅行や風の旅行社と組んで「月の砂漠ツアー」を行っている。
FaceBook 岡本翔子のMoonBook
http://www.facebook.com/moonbook.jp/
岡本翔子オフィシャルサイト http://www.okamotoshoko.com
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/okamotoshoko/