月の心理占星術(はじめに)

月の心理占星術

生きづらさを感じている人へ。
月の星座を知ると心が軽くなる!

はじめに

 占星術を知るきっかけは、雑誌などの星占いでしょう。生まれた日(誕生日)によって星座を12に分類し、各星座の性格や人生の傾向などを判断します。それを「誕生星座占い」と呼びます。自分が何座になるかは、出生時に太陽が天にある黄道12宮(12の星座が位置する空間)のどの宮に位置していたかで決まります。

 巷にあふれる「誕生星座占い」は、長い歴史を持つ占星術の、ほんの入り口のようなもの。そこから占星術に興味を持つと、生年月日、出生時間、出生地のデータを基にホロスコープ(出生天宮図)を作ることになります。単に「〇〇座生まれ」という分類から、個人のホロスコープを作成してみると、そこには太陽以外にも様々な天体がホロスコープを彩っているのがわかります。中でも太陽同様、個人の性質や人生の行方に大きな影響をおよぼすのが月の位置です。月の星座の調べ方は、後でくわしく説明します。

 太陽星座の説明を読み、「どうもピンとこない」「あまり当たっていない」と感じる人も多いと思います。太陽星座とともに、出生時の月の星座も調べてみると、「こっちのほうがしっくりくる」という人は少なくありません。なぜなら月の星座は、まだ私たちがはっきりと「私」という自覚を持つ前の段階、つまり「自我」に目覚める前の、幼少期の性質に影響を与えるからです。子ども時代の世界の捉え方、起こった出来事に対する反応(リアクション)や感情(フィーリング)は、むしろ月の星座に負うところが大きいとされています。
 月の星座を知ることは、あなた自身をより深く知るきっかけとなるでしょう。
以下に太陽星座と月星座の違いを説明しておきます。


太陽星座(出生時に太陽が位置していた星座)

太陽は明るい「意識」、分析心理学でいう「自我」を表します。それは「私」または「自分であるという感覚」であり、他人と自分を区別するものです。俗にいう“〇〇座生まれ”とは、太陽が位置する星座のこと。太陽がどの星座にあるかで、その人の基本的な性格がわかります。あなたの生き方や生きる姿勢は、この太陽星座に表れます。人生の目標、「こうなりたい」という意志や願いを、太陽星座は象徴しています。


月星座(出生時に月が位置していた星座)

月は太陽とは対照的に「無意識」や「本能」「気質」を表します。普段の生活における習慣的なふるまいは、月が位置する星座の性質に関係します。月によって示される性質は、より子ども時代に顕著です。月の配置はまた、人がどのように「感情」や「肉体」と関わるかを表します。あなたが人とどう向き合うか、どのような人間関係を築くかは月星座が示し、感情が満たされ安心し、心が幸せだと感じることを月は暗示しています。

 太陽はひとつの星座に約1か月留まり、1年かけて天の黄道12宮を一周します。それに対し月の動きはもっと早く、約1か月かけて、黄道帯にある12の星座すべてを巡ります。つまり同じ年の同じ太陽星座生まれであっても、月の位置は12星座に分かれることになります。同じ年の牡羊座同士でも、月星座が変われば、性質や人との関わり方が異なるとわかるでしょう。

 この連載では、月星座というものをいろんな観点から深く掘り下げて、あなたの心模様や感情、大切な人とどう関わるか、愛を得る方法や愛情の育み方などについて、ひもといていきたいと思います。


   月の星座が象徴するもの


 月は伝統的に「本能」や「無意識」「感情」を表し、普段の生活における習慣的な態度やふるまいも、月が位置する星座の性質が関わります。
月によって示される性質は、子ども時代に条件付けされた無意識的な反応(リアクション)のパターンとも言えます。自分がまだ幼児だったころのことを思い返してみましょう。自分一人で生きる力はまだ備わっておらず、もっと本能に根ざした存在でした。
周りの環境や出来事に対し、あなたが本能的にどんな反応をし、どのようにふるまうか、つまりFeeling(感情)の本質を月の星座は表しています。幼少の頃から大人になる過程で、人は自然に月の星座の性質に従って、人生や生活に反応していきます。

 月の星座はしばしば、自分にとって“快適で安全”でいられる方法をも指し示します。あなたが心からくつろぎ「幸せだ」と感じることこそ、月が本能的に要求するものです。そしてまたあなたが疲れを感じ、休息や休養、聖域(逃げ込める場所)を必要とするときに最適な場所をも、月の星座は暗示します。

 あなたの太陽星座が、意志の力で何かに向かって努力をしていないとき、もっと本能的な反応パターンの中でくつろいでいるときに、月星座の性質が働くのがわかるでしょう。“快適で安全”というキーワードから、健康や家庭生活も月が表す領域です。


   母親との出会いとドラマ


 また月は占星術のみならず、古くから多くの文化において「母親」や「女性性」の象徴でした。筆者がイギリスで学んだ心理学者にして占星術家・ハワードサスポータス氏は、月の星座に関してとても興味深い説を残しています。


   First Love―月はまるで初恋のようなもの


 母親という存在は、私たちが生まれて初めて出会う大切な人間関係です。母親がいなければ生まれたての赤ん坊は生きていくことができません。まだ自我に目覚める前の幼少時代。私たちは無意識のうちに、生き延びていくための方法を身につけようとします。それはまさに生存本能とも呼べるものです。この人に気に入られなければ、この人に愛されなければと、子どもは切ないまでに母の愛情を得ようとします。子どもにとって、母との出会いは、まるで初恋のようなものだというのです。あなたのホロスコープの中で、月の星座が意味するものは、初めて出会った大切な人に、どうやったら愛されるのか、つまり愛を得る方法を表しています。
また月の星座は、あなたがどのように母親を見たり、経験したりするか、そして将来どんな親になり、どのように人を育成し、また人に育てられるかをも暗示します。このように月の星座は、あなたの中の女性性のイメージを描写します。

 いくつかサンプルを上げてみましょう。
 たとえば月が牡羊座にある子どもは、母親に気に入られるためには「戦って勝つ」必要があると感じ、学校に通う頃になると、勉強やスポーツなどで一番になるためにがんばります。それが母の愛を得る方法だと思い込むわけです。実際の母親がどうであれ、母親があなたに大きな期待を寄せていると思い、人生でハードな闘いに挑んでいくかもしれません。その経験により、あなたが親となったときには、少々押しつけがましい愛情を持ち、競争心に欠ける子どもを叱咤激励するかもしれません。

 もし月が蟹座にある子どもなら、母親に気に入られるためには「母の言うことを受容し、母に何かあったら守ってあげなくてはならない」と感じるようになります。蟹座に月がある子どもは、反抗心には欠ける傾向があります。どこまでも母親の要求を受け止めることが、母の愛情を得て、自分自身の心の安定を保つ方法となるでしょう。この人たちが親になると、子どもの世話をすることや家族の絆を深めることにエネルギーを注ぎますが、子どもの自立には心配性から、過保護で過干渉の傾向が出てきます。

 このように母親の愛情を得る方法は、月星座の性質により12種類に分類されます。そしてその子どもが大きくなり、他人と関わり、だれかの愛を得たいと思うとき、子ども時代に無意識に培った母の愛を得る方法のパターンを、実際の恋愛関係にも投影するようになるでしょう。これが「月は初恋」と言われる所以です。

 月が牡羊座なら、戦ってライバルに打ち勝つことで愛を得ようとするかもしれません。蟹座に月がある人は、好きな相手をどこまでも受け入れ、許すことで相手の愛を得ようとするというように。しかもその方法は、意識的というより、無意識の中に刷り込まれたパターンとして表れます。
さらに言うと、実際にあなたの人生に表れる恋愛相手は、千差万別です。あなたが無意識に考える「愛を得る方法」が、功を奏するかどうかは相手次第。そこに恋愛、ひいては人間関係に悲喜こもごものドラマが生まれます。月の星座の性質や行動パターンを知ることは、あなた自身をより深く理解するきっかけとなるでしょう。

 次回は、各月星座(12パターン)の性質をくわしく説明し、それぞれが幼少の頃からどのように母親を見て、人間関係や愛情を育んできたかを探ります。さらには太陽星座との関わりを補足し、それぞれの心模様をあぶり出していきたいと思います。


 月の星座の調べ方

 月は各星座に約2日半、とどまります。誕生日さえわかれば、あなたの月星座を調べることができます。ただし1日の間で、月はある星座から次の星座へと移る日があります。その場合は、ある程度正確な誕生時間が必要になります。誕生日をもとにホロスコープを作成するにあたり、フリーの作成ソフトがネットなどで多く出回っています。
 これを機会に正確なホロスコープを作ってみるとよいでしょう。おすすめのホロスコープ作成サイトを記しておきます。

 ASTRO DIENST (アストロ ディーンスト)
 https://www.astro.com/horoscope/ja

 サイトにアクセスし、無料ホロスコープをクリック→ホロスコープ各種チャート作成→出生図、上昇点(アセンダント)をクリック。
 出生データを入力しホロスコープが出たら、左側にある惑星の中から☽月の位置する星座をチェック。これであなたの月星座がわかります。

pdf ASTRODIENST説明 .pdf (0.48MB)


あなたはどの星座生まれ?


 黄道十二宮に位置するそれぞれの星座は、四大元素(エレメント)、火・地・風・水に分類されます。各星座のそれぞれの説明をする前に、エレメント別の傾向を説明しておきましょう。


火の星座

 月星座が牡羊座、獅子座、射手座にある人は、Fire Moon(火の月)生まれ。生命力に満ち、創造的で、何事にも情熱的に取り組むタイプ。本能的に、自分に課せられた限界を超えたいという強い欲求があり、周りから“特別視”されたいという気持ちも強い。火の月は人生に“意味”や“目的”を求めます。単調で意味のない日々を過ごすことに対し、本能的な恐れを感じます。好戦的で激情に駆られやすいのも特徴です。その一方で、物事を楽しむセンスを持ち、ドラマティックなことを好むのも特徴。直情型で、日常生活に刺激や、心地よい温もりを求めます。


地の星座

 月星座が、牡牛座、乙女座、山羊座にある人は、Earth Moon(地の月)生まれ。自分の体や五感に深く根を張って、安心できる足場を持つことを好みます。自分の肉体に対する内なる要求に無意識でいると、不安や苦痛が長引くことになります。自分の五感を通じて物事を理解するので、反応が遅い面は否めませんが、心と裏腹なことを言うことはありません。また少々、用心深すぎる面が顔を出すこともあります。安全であるということ、物事を自分でコントロールしている状態を求めます。日々の生活に自分独自の“儀式”(健康や食に関することで)を持っている人は多い。金銭など目に見える安心材料を求める傾向も。


風の星座

 月星座が、双子座、天秤座、水瓶座にある人は、Air Moon(風の月)生まれ。精神的レベルでの知的な刺激と、会話を必要とする人々です。だれにでも愛想がよく、審美眼があり、軽やか。しかしいつもどこか冷めていて、人間関係では適度な距離を必要とします。社会性があり、社会から孤立すると不安が芽生えます。会話がなく、あっても正直さに欠けるコミュニケーションに彩られた幼少時代を過ごすことほど、苦痛なことはありません。自由を感じること、真実を知ること、物事が公平に行なわれることを好みます。明晰でありたいという欲求が、他人と感情的に混ざり合うことを避ける要因にもなっています。


水の星座

 月星座が、蟹座、蠍座、魚座にある人は、Water Moon(水の月)生まれ。豊かな情感の持ち主で、周りの人々との感情的な交流を何よりも重要視します。こちらの感情的な投げかけに対し、相手が無反応だと不安を覚えるタイプ。たとえそれが怒りや嫌悪といったネガティブなものだったとしても、無視されたり無反応であるよりはマシと考えます。周りが自分を理解してくれている、気にかけてくれていると感じることを好むのです。物事に感情移入しやすく、無意識的に人の気持ちを操作しようとするところも。何かに属しているという感覚や、人と気持ちが通じ合うことを求めています。


 次回はいよいよ第一回目『牡羊座の月』の説明になります。

 

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岡本翔子(おかもと・しょうこ)
心理占星学研究家。ロンドンにある英国占星学協会で、心理学をベースにした占星術を学ぶ。英国占星学協会会員。占星術と料理、コスメ、旅などを組み合わせたコラムを『CREA』『美ST』『料理通信』『ESSE』などの雑誌連載を中心に執筆。また『完全版心理占星学入門』(アスペクト)、『「月のリズム」で夢をかなえるムーン・マジック』(KKベストセラーズ)、『占星学』リズ・グリーン著(青土社、鏡リュウジ共訳)、『月のリズムで暮らす本』『月の大事典』テレサ・ムーリー著(ヴィレッジブックス、監訳)『ハーブ占星術』エリザベス・ブルーク著(東京堂出版、翻訳・監修)など、著書・訳書多数。月の満ち欠けカレンダーを記し、月のリズムを生活に生かすヒントが満載のダイアリー『MOONBOOK』は、2004年から15年続く静かなロングセラーとなっている。またウェブマガジン『CREA WEB』(文芸春秋)にて『岡本翔子の日めくり MoonCalender』を連載。いずれも数多くのファンを得ている。モロッコの砂漠で見る月に魅せられ、一年の約2か月をマラケシュで暮らす。2010年より不定期に三越旅行や風の旅行社と組んで「月の砂漠ツアー」を行っている。
FaceBook 岡本翔子のMoonBook
http://www.facebook.com/moonbook.jp/
岡本翔子オフィシャルサイト http://www.okamotoshoko.com
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/okamotoshoko/