40歳をすぎたあなたが結婚をつかむための17か条 超実践編

40歳をすぎたあなたが
結婚をつかむための17か条 超実践編


第9回(2021.11.05)

親を許そう

 最近、「親ガチャ」なることばがネット上を飛び交っているそうです。親というのはガチャガチャのようなもので、たまたま「いい親」だったらアタリだけど、「毒親」だったらハズレ。どんな親の元に生まれるかは運次第、ということを言い表したことばのようですが、いやはや、なんとも切ない表現です。

「毒親」という概念は少し前から存在していました。「アダルトチルドレン」という言葉もずいぶん前から使われていましたね。
「毒親」=子供をまっとうに育てる能力がなかったり、子供を傷つける言動をする親に育てられることで、子供が傷つき、「アダルトチルドレン」=なんらかの生きづらさを抱えた人になる、ということは、さまざまなところで研究がなされている問題でもあります。心理学にも「機能不全家族」なる用語がありますし、人が何か問題を起こすと、世間はその生育歴を探ろうとします。

 親子関係は最初の人間関係ですから、それがその後の人間関係のベースになります。当然ながら結婚にも及びます。かくいう私もそのことに苦しみ続けたひとりです。
 私はごく普通の家庭に生まれ、何不自由なく育ちました。しかしひとつだけ、幼少時から心を痛めていることがありました。母から父の悪口を聞かされ続けていたのです。
 小さな子供は母親の味方ですから、母を苦しめる存在を憎みます。私は父親のことが大嫌いになりました。なおかつ、結婚は地獄だ、と物心つく頃には思うようになっていました。
 それはその後の恋愛にも大きな影を落とします。男性とおつきあいをしても、心を開けない。普段通りの自分でいられない。あるいは、恋人や奥さんのいる人を選んでしまう……。さんざん傷つきました。

 なんて男運が悪いんだ。そう、自分の運命を呪ったものです。でもある日、親との関係が恋愛に多大な影響を及ぼすことを知り、衝撃を受けました。そして、関連書籍を読みまくったのです。
 結果、家庭での経験から、私の心の中には、父を含め男性というものは女性の敵である。地獄である結婚は遠ざけるべし、というプログラムが出来上がってしまっていたことがわかったのです。恋愛がうまくいくはずがありません。
 なんとかしてこのプログラムを書き換えなければ。私は、御年80歳・大ベテランの女性カウンセラーのカウンセリングを受けることにしました。

 そのときに受けたカウンセリングは、「エンプティチェア」というもの。椅子をふたつ用意し、片方に自分が座ります。もうひとつの椅子には母が座っているとイメージし、イメージの中で対話を重ねていくのです。
 カウンセラーの誘導のもと、私は、言いたくても言えなかった苦しい思いを、イメージの中の母に告げます。
「お母さんからお父さんの悪口を聞かされるのが、すごく嫌だったよ」
「そう……。ごめんね。私もね、ほかに言える人がいなくて、あなたに甘えてしまった」
「私はお父さんが嫌いになっちゃったんだよ。それで、今も苦しんでる」
「ごめんなさい。ごめんなさい……」

 目の前にいる母は、小さな子供のようにうなだれていました。江戸っ子で都会のデパート勤め。歌舞伎観賞が好きだったおしゃれな母は、やがてお見合いで田舎の生まれの父と結婚します。父の地元で暮らすようになり、働くことを父から許されず仕方なく専業主婦になりました。ちょっと口答えすれば、昭和ひとケタ生まれの父に大声で怒鳴られる。それでも働いていないから我慢するしかなかった。
 母もまた、苦しかったのです。だから、小さな娘を味方につけるしかなかったのでしょう。

 カウンセリングを終え、私は母を許すことができるようになりました。長年背負っていたものを降ろせたような、何とも言えない気分になりました。
 その後、徐々に素直に人に心を開けるようになり、やがて結婚に至ったのです。

 私もまた、「毒親」の娘だったのかもしれません。でも、「毒」をもたない親などどこにもいません。だから、「親ガチャ」でアタッたかハズレたかだとか、自分の親が「毒親」かどうかなどどうでもいいこと。大事なのは、自分を世界で誰よりも愛してくれているはずの親を、受け入れて、許すことです。

 親の傷を理解し、認めること。無理に好きにならなくてもいいから、してくれたことに感謝すること。

 あなたがもし、親のことで傷つき、結婚にたどり着けないのだとしたら、イメージの中でその作業をしてみてください。
 私は親を許すことができましたが、感謝を伝えることができないまま、親は他界してしまいました。そのことが、今も心残りです。あなたの親が健在なら、ぜひ会いに行って感謝を伝えてくださいね。

 

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 桜野かほり(さくらの・かほり)
1966年生まれ。心理カウンセラー。ビジネスシーンを中心にこれまで8万5千人のメンタルケアを行ってきた。ペットのうさぎに癒されながら、難関資格取得を目指す夫のサポートをゆるゆる実践中。「あげまん道」を究めるのが次なる目標。