書 籍
日本再興 経済編
松田学 著
四六判並製 320頁
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-910818-04-7
過去の約30年間で、アメリカやヨーロッパのOECD加盟国は、ほぼ軒並み給与レベルが2~2・5倍、スイスなどは3倍ほどになっているのに、日本人の賃金だけは全く伸びていない。中国に抜かれるまで世界2位だったGDPの伸び率にいたっては、世界200カ国の中でも最下位レベル。国民一人当たりGDPも27位(IMF World Economic Outlook Database,Oct.2022)まで低下している。
「失われた30年」と言われ、日本の経済的な地位は著しく低下してしまった。なぜだろう? あれほど勤勉だった日本人が急に怠惰になったのか? 優秀だった日本人の能力が低下したのか? それとも、日本企業の経営陣がボンクラ揃いだったのか?
日本国内では、1997年あたりから資産デフレが進行し、現在では主要上場企業も海外ファンドの持ち株比率が高くなり、伝統的な日本企業の社名ではあるが、実質的オーナーは外資という企業も激増した。大手製薬企業で最大株主が外資系ファンドでないところは、実はほとんど残っていないし、都銀をはじめとする金融機関とて同様だ。主要都市の不動産をはじめ、地方の防衛関連で重要な地域の土地や水源地に至るまで、日本の根幹が、次々と外国資本に買われてしまっている。メディアは触れないが、日本に歴史上最大の危機が迫っていると言ってもいい。
本書は、元大蔵・財務官僚で、その後、危機感にかられて政界に身を置き、現在は国政政党となった参政党代表の著者が、日本の「失われた30年」が始まった歴史的経緯を詳らかにし、その背景に「ワシントン・コンセンサス」というグローバリズム勢力の明確かつ具体的な意図が存在していたこと、そして現在もなお継続中であることを示したものだ。
同時に、外国勢力による意図を国内側から下支えした勢力が存在していること、また、財務省の振る舞いがさまざまな制度的な軛、象徴的に言えば、国債発行残高を減らすという財政規律、プライマリーバランス論に縛られ、日本国を豊かに富ませ、国民の幸福を増進するという本質を見失ってしまっていることを指摘し、これに対し本質的かつ最終的な解決案を提示している。
著者のスペシャリティーでもある「ブロックチェーン技術」の本格活用により、世界中で主導権争いが進められつつある「デジタル貨幣制度」において、中国の「デジタル人民元」の傘下に組み入れられないように、「デジタル円」の制度設計を早急に進めよとのプラン、すなわち「松田プラン」の提案である。このプランとの組み合わせにより、60年償還ルールに縛られ、世界でも特異な「国債返還強迫神経症」に陥っている日本の財政当局を無用な軛から解放できるとの画期的な呼びかけは、今後国民的な議論を経て、実現に向けての着実な一歩を踏み出すものと思われる。他に、残された道はないのだから。
2023年10月からの、インボイス制度の導入については、現今のデフレ下において中小・零細企業や個人事業主、フリーランスを必然的に圧迫するため、強行すべきでないと主張する。制度導入以前に広がる具体的な不安の声によく耳を傾けてのものである。
読者は、この松田プランの実現により、日本は輝かしく再興を遂げるであろうとの、大いなる希望を共有できるに違いない。
■ 目次
カラー口絵
まえがき
1章
──デフレ克服までは「税の論理」はデメリットとして作用する
2章
──経済有事においては「税の論理」を抑えるのが政治の役割
3章
──60年償還ルールは永久国債化で一掃、日本の真の独立のために
4章
──こんな日本に誰がした? 経済成長率がまさかの世界最下位とは?
5章
──世界と唯一戦える財政政策としての松田プラン
■著者 松田 学(まつだ・まなぶ)
参政党代表。松田政策研究所代表。元衆議院議員。1957年京都生まれ。1981年東京大学経済学部卒。同年大蔵省入省、西ドイツ留学。大蔵省など霞が関では主として経済財政政策を担当、マクロ経済学のスペシャリスト。内閣審議官、財務本省課長、東京医科歯科大学教授等を経て、2010年財務省を退官し、国政進出を目指す。2012年衆議院議員。2015年東京大学大学院客員教授。松田政策研究所代表のほか、(一社)デジタルアイデンティティ推進コンソーシアム代表理事、(一社)ワクチンハラスメント救済センター理事、バサルト株式会社代表取締役社長、横浜市立大学客員教授、そのほか多数の役職に従事。YouTubeの松田政策研究所はチャンネル登録者数26万超、ブロックチェーンなどデジタル通貨・財政論の第一人者で、日本の財政危機を一気に解決しうる画期的な「松田プラン」の提唱者でもある。
著書に『競争も平等も超えて』(財経詳報社)、『永久国債の研究』(光文社、共著)、『TPP興国論』『ニッポン異国論』(KKロングセラーズ)、『サイバーセキュリティと仮想通貨が日本を救う』(創藝社)、『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』(アスコム)、『投票したい政党がないので自分たちでつくってみた』(扶桑社、共著)、『新型コロナが本当にこわくなくなる本』『新型コロナ騒動の正しい終わらせ方』『マスクを捨てよ、町へ出よう』(ともに方丈社、井上正康共著)、『これで日本は大丈夫!』(方丈社、武田邦彦共著)など多数。