書 籍
コロナに負けない体は漢方でつくる
日本中医学学会会長 平馬直樹 著
四六判並製 240頁
定価:1,400円+税
ISBN:978-4-908925-83-2
漢方の進歩の歴史は感染症との闘いの歴史だった!
中国がコロナの制圧に成功した陰には、中医学の大きな貢献があった。武漢では、どのような治療が行われていたのか。中医学の日本トップがそのときの治療例を紹介しつつ、誰もが実践可能なコロナ対策を提案!
武漢が都市封鎖により、いち早く新型コロナウイルス制圧に成功したことは改めて言うまでもない。しかしコロナ制圧成功の陰に、中国の伝統医学である中医学つまり漢方薬の貢献があったことはあまり知られていない。
中医学の歴史は感染症のとの闘いの歴史と言ってもよいほどで、漢方薬を用いた感染症治療には目を見張るものがある。本書では、武漢の事例をもとに、漢方薬を使った新型コロナウイルスの治療例を紹介し、漢方薬を用いた感染症対策について紹介する。
■ 目次
はじめに
第一章 検証 なぜ武漢はコロナを制圧できたのか
春節と重なった武漢のロックダウン
世界に放たれた新型コロナウイルス
沈静化する武漢
なぜ武漢はアウトブレイクを抑え込めたのか
ロックダウンとともに行われた政府主導の「中西医結合」
武漢という都市
わずか10日で完成した仮設病院
中国全土から集まった名医たち
武昌モデル
重症化例ゼロの成績を残した漢方薬
114名中の107名は中医学的治療で退院
「補う治療」と「取り除く治療」を並行して行う
重症患者への対応
漢方の注射製剤
158名のうち88例は漢方のみで退院
重症化をゼロに抑えた大花山方艙医院
漢方治療を信頼するようになった患者たち
治療に当たった中医学スタッフは二次感染ゼロ
鍼治療のエキスパートも武漢へ
第二章 感染症への中医学的アプローチ
SARSの経験1︱中西医結合の試みと中医学ネットワークの形成
SARSの経験2︱香港で驚くべき成果を上げた中医学治療
新型インフルエンザへの対応
「麻黄湯」の危険性
感染する人、感染しない人、その違いは?
内因――プラス感情の「喜び」も
度を越せば邪気になる
外因――体がついていけないほどの
気候変化が邪気になる
不内外因――内因でも外因でもない病気の原因
中医学の治療原則は「扶正祛邪」
中医学における感染症のとらえ方
中医師たちの意見交換から生まれた緊急新薬「三方三薬」
90%以上の患者に効いた「三方三薬」
第三章 新型コロナウイルスに効く漢方薬
なぜ漢方新薬の開発はスピーディーなのか
中医学チームが開発した新型コロナの特効薬「三方三薬」
漢方治療の成功例の紹介と漢方導入の提案
熊本赤十字病院の漢方治療
症例:53歳女性、主訴は発熱および咳嗽
効果的だった漢方薬の倍量投与
いまこそ漢方薬併用に柔軟な対応を
第四章 感染症とパンデミックの歴史
疫病の世界史
疫病の日本史
古代日本の疫病観
江戸時代の梅毒
江戸時代の麻疹
江戸時代のインフルエンザ
開国以降の感染症
20世紀の細菌学の進歩
現代の新たな脅威
第五章 漢方の歴史は、感染症との闘いの歴史
戦乱と疫病で繰り返される人口崩壊
『傷寒論』の成立と葛根湯
すぐれた臨床マニュアルとしての『傷寒論』
『傷寒論』が優秀でも、診断は「一人ひとり」が基本
医学書の発展過程
印刷技術と医学書
李東垣『内外傷弁惑論』
ウイルスの存在を見抜いていた呉又可『温疫論』
熱病の頻発と温病学の体系化
『傷寒論』の傷寒病と温病学の温熱病はどこが違うか
第六章 漢方治療の基本戦略は免疫力の強化
「未病」と「治未病」という考え方
東洋医学の未病と西洋医学の未病
漢方の養生法
総合的な体質を知って病気を遠ざける
食養生――食べて体調を整える
漢方治療の基本戦略は免疫力の最大化
「漢方薬はゆっくり効く」という思い込み
中医学と西洋医学の併用で病気を早く治す意識改革を
生活習慣病とアレルギー疾患は漢方の得意分野
中医学の診療科は内科だけではない
漢方のガン治療
保険対応は148処方
2000年間のエビデンスの積み重ね
服用を手軽にしたエキス剤の出現
漢方薬の値上がりと薬局の悲鳴
第七章 ウィズコロナ時代に効く漢方薬
コロナうつのイライラには
漢方薬で抗うつ剤減薬を試みる
感染症不安が強い人には
軽いストレスには、溜まったストレスには
新型コロナの感染予防のイチ押しは
漢方医が飲んでいる新型コロナ予防薬1
漢方医が飲んでいる新型コロナ予防薬2
漢方医が初期治療に使う漢方薬
後遺症に効く漢方薬
味覚異常と嗅覚異常に効く漢方薬
だるさや倦怠感を取り除く漢方薬
終章 変異株に対して中医学ができること
感染拡大とデルタ株
変異株とは何か
株が変異しても、正気を補う予防法は変わらない
できるだけ早く漢方薬の使用を
おわりに
■著者 日本中医学学会会長 平馬 直樹(ひらまなおき)
昭和27年、神奈川県生まれ。東京医科大学卒業。昭和53年、北里研究所付属東洋医学総合研究所勤務。昭和62年~平成1年、中国中医研究院広安門病院(北京)に留学。平成2年より牧田総合病院牧田中医クリニック診療部長。平成8年より後藤学園入新井クリニック漢方診療部長を兼任。平成17年より日本医科大学東洋医学科講師。現在、平馬医院院長として診療に当たる。そのかたわら一般財団法人日本中医薬学会会長として、中医学の知識と技の発展と普及を通じ、現代の医学と医療に寄与する活動を展開している。