書 籍

これから出る本

ウミガメは100キロ沖で恋をする

菅沼弘行 著
四六判並製 256頁
定価:1,500円+税
ISBN:978-4-908925-79-5

2021年6月18日発売

 

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愛で救えりゃ苦労はしない。ウミガメが教えてくれた本当のこと。

「養殖で一儲けしよう」と小笠原のウミガメの世界に飛び込んだ菅沼青年。
しかし、養殖では採算がとれず「守る、増やす」ことに方向変換。
小笠原諸島からインドネシアまで、ウミガメと「放浪」して45年。
「ウミガメを守りたい」「かわいそう」という思いだけではウミガメを救うことはできない」が持論で、「ウミガメを保護したいという思い込み、つまり誤解がウミガメを危機に陥れている原因になっている。そもそも人はウミガメを保護できるほどの知識も能力も持っていない」という。

NPO法人ELNAを立ち上げ、「僕らがかかわった地域のウミガメは絶対に絶滅させない」そんな思いで、熱帯の海岸を歩き回り、産卵巣をがむしゃらに掘りまくり(もちろんふ化後)、海岸に打ち上がったウミガメの死体をバッサバッサと切りまくり、ときにはウミガメの研究者と交渉(というかケンカ)する日々を送っている。

本書は、そんな著者が歩いてきたウミガメの世界を紹介するとともに、ウミガメを保護する風潮と闘ってきた男の軌跡をたどるノンフィクション。

 

■ 目次

はじめに
ウミガメ養殖で大儲け/ウミガメのお産婆さん/ウミガメ養殖は儲からない!/
小笠原から世界へ/身近なウミガメへの〝思い〟と〝思い込み〟

ウミガメ図鑑
オサガメ/ アオウミガメ/ アカウミガメ/ タイマイ/ オリーブヒメウミガメ/
ケンプヒメウミガメ/ ヒラタウミガメ

1章 絶滅危惧種「ウミガメ」のいま
絶滅危機にあるウミガメ/タイマイとワシントン条約と日本/
2年で13万7000頭を捕殺/タイマイを絶滅に追い込んだのは/
18000万円の無意味な調査旅行/届かなかったべっ甲職人の危機感/
アリバダが復活したヒメウミガメ/オサガメとマグロはえ縄漁/
食文化としてのウミガメ/ダウンリストはよろこぶべきか

ウミガメコラム① ウミガメの生態
リクガメとウミガメって何が違う?/カメはいつ地球上に現れた?/
ウミガメの潜水の秘密は?/ウミガメは何年生きるの?/
ウミガメってどんな一生?/地球温暖化でメスガメばかりになる?

2章 移植でウミガメは増やせない
ウミガメ〝保護〟最大の思い込み/卵を殺してしまう移植/盗掘対策には軍隊を/
移植が母浜回帰を狂わせる?/カメの生態を無視した放流会/
なにもしないのがいちばん!/海の力に任せる

ウミガメコラム② ウミガメを脅かすもの
マイクロプラスチックとゴーストネット/野生動物による食害/
産卵や脱出を邪魔する海岸を照らす光/砂浜への車の乗り入れ/砂浜の減少

3章 小笠原のアオウミガメ
ウミガメとともに歴史を刻む島/持続的利用を実現する小笠原/
ELNAの活動の肝「モニタリング調査」/鉄筋で卵を探す理由/死体は語る/
大村海岸の光害/ヘッドスターティングへの期待/基礎データとカメ研/
99年続いた人口ふ化放流事業/小笠原のアオが増えた理由/

ウミガメコラム③ ちょっと自慢
活用されはじめたPIT タグ/ノギスと電気柵とサージミヤワキさん

4章 ジャワ海のタイマイ
なりゆきではじまったタイマイ保全/タイマイの卵と現地経済/
卵の盗掘人から監視人へ/ナタで追いかけられて/地道な海岸の掃除/
ネズミを絶滅させろ/キマル島のムサさん/インドネシアという島/
海外で活動するということ/「菅沼、バカルディ、持ってきたか?」/
地元の人と一緒にやる理由/ジャワ海5島だけは守り抜く

ウミガメコラム④ アキル・ユスフさんのこと
突然のお別れ

5章 パプアのオサガメ
オサガメ繁殖地、太平洋最後の砦で/狩猟民族アブン族とウミガメ/
卵を食べる野ブタを撃退/サシバエとワニの恐怖/
西パプアのもうひとつの〝戦い〟/さまざまな妨害を受けながら/
村人を怒らせた議案/オサガメの産卵数が増えない理由

ウミガメコラム⑤ 研究者との共同研究
カメが気象予報の手伝い/ELNA の現場力

6章「ウミガメを守るということ」
ボランティアではできない/人の影響を取り除く/ウミガメ研究者と保全/
雨ドイとワニとニオイ/種によって産卵場所が違う理由/
オサガメのカモフラージュ/移植が防げる母浜回帰/僕に与えられた最後の仕事

あとがき

 

■ 著者 菅沼 弘行(すがぬま ひろゆき)
認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー常勤理事。小笠原でアオウミガメの増殖を行っているという新聞記事を見た数日後に、小笠原行の船に飛び乗り、ウミガメの世界に飛び込む。東京都小笠原水産センターで行っていたアオウミガメの人工ふ化放流事業を手伝う。その後、財団法人の管理する小笠原海洋センターの職員として小笠原に22年住む。財団法人の解散後、ELNAを立ち上げる。小笠原やインドネシア以外にも、パラオのタイマイ調査、キューバのタイマイ調査やベトナムのウミガメ調査などに関わった結果、現場のデータがいかに重要かを知る。自然の状態が絶滅危惧種を絶滅させない唯一の力であることを、データから教わった。人は決して自然をコントロールできないのである。これが、エルナの今の活動概念の根底になっている。これまでに、環境省の専門委員、日本ウミガメ協議会の副会長、国際ウミガメ学会の理事などを務め、 人と絶滅危惧種の狭間を力強く歩んでいる。IUCN・種の保存委員会ウミガメ専門委員(Hawksbill Task Forceメンバー)