書 籍

方丈社書籍

神々の子孫

戸矢 学 著
四六判並製 320頁
定価:2,700円+税
ISBN:978-4-908925-77-1

 

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奇跡の書『新撰姓氏録』から「日本人の成り立ち」に迫る!

平安時代初期に嵯峨天皇の命によって編纂された『新撰姓氏録』。そこには、京・畿内に本籍を持つ1182氏が、その出自や家系によって、神別・皇別・諸藩と、それらに属さない未定雑姓に分類されている。

京・畿内は言うまでもなく政治・文化・経済の中心である。ということは、『新撰姓氏録』を現代風に言うならば、首都東京とその近県に住まい、政治・文化・経済など、国の中枢を担う人々の戸籍簿と理解してもよいだろう。

『新撰姓氏録』には現在もよく目にする苗字が少なくない。所載姓氏1182氏のうち、その約3割は渡来系であり、当時の日本は現代以上に国際的であったと言えるだろう。となると、民族的均一性が高いと言われる日本人の特性は後天的に獲得されたものとも考えられはしないだろうか。

本書は、『新撰姓氏録』から浮かび上がる「古代日本人」の実相に肉薄して、飛鳥、奈良、平安にかけて急速に成熟した日本古代文化の血統的な原動力、源泉を解き明かす試みである。奇跡の書『新撰姓氏録』から「日本人の成り立ち」に迫った意欲作。

 

 

■ 目次

まえがき 一二〇〇年前に編纂された奇跡の記録

第一章 神の裔(すえ)……大和人(やまとびと)の証しは神の血脈か
「八色の姓」が明示するヤマトの支配層
皇別は特別枠か
「神別」の底力
神仙たらんと渡来した「諸蕃」の実態
京都は「日本人の心のふるさと」なのか
日本神話の神々は実在した
言霊(ことだま)の幸(さきわ)う国
「カミ」の誕生

第二章 海人族の渡来……波の彼方からやってきた神社信仰
海人族、ヤマトへ。
海部国造と「十種神宝(とくさのかむだから)」
出雲国造家と「神賀詞(かんよごと)」
尾張国造と草薙剣
隼人族とオオヒルメ伝承

第三章 祭祀氏族の台頭……蘇我・物部から中臣へ
社家の氏族
蘇我氏の「氏神」
「神別・地祇(ちぎ)」の秘密

第四章 国体の本義……天皇号の発明と国家の開闢(かいびゃく)
崇神(すうしん)VS崇仏(すうぶつ)
物部守屋の慰霊鎮魂
二種類の神社創建コンセプト
頂点を極める中臣氏
天武天皇による第二の開闢(かいびゃく)
藤原不比等(ふじわらのふひと)の功罪
日本人がつくった「懐かしきふるさと」
「よみがえり」の思想

第五章 姫(き)氏の血脈……皇室の苗字はなぜ消されたか
「史(ふひと)」によって編纂された国史
失われた歴史書
伊吉博徳書(いきのはかとこのしよ)
記紀の時代は「和」が最重要課題
「キ氏」の謎
「ヤマト言葉」と「コトダマ思想」
渡来人の比率と日本語
祭祀の転換と新たな国家
天皇家はなぜ氏姓を消したのか
神社と氏神
歴代天皇で唯一暗殺された崇峻(すしゅん)天皇
中臣氏に消された忌部氏
出雲氏の血統

あとがき 神々の子孫は、いずこへ
巻末資料
『新撰姓氏録』収載氏族一覧一一八二氏
諸国国造一覧
関連年表
主な参考資料

 

■ 著者 戸矢 学(とや・まなぶ)
1953年生まれ。埼玉県出身。歴史作家。埼玉県立熊谷高等学校、國學院大學文学部神道学科卒業。神道・陰陽道研究において、独自の視点からアプローチを提示し、常に新たな問題・課題を提起する。主著に『縄文の神が息づく 一宮の秘密』(方丈社)、『卑弥呼の墓』『日本風水』『陰陽道とは何か』『鬼とはなにか』など。近著は『スサノヲの正体: ヤマトに祟る荒ぶる神』(河出書房新社)。