書 籍

方丈社書籍

文豪と借金 

 

「文豪と借金」編集部・編 荻原魚雷・解説
四六判 280頁
定価:1,400円+税
ISBN:978-4-908925-62-7

 

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文豪といえども、お金のことになると、なりふりかまっていられない。
そんな赤裸々な姿が描かれた作品の数々、笑って読み始めていると、次第に胸を打ちます。
「ふざけたことに使うお金ではございません。たのみます」(太宰治)。
「若し、無理に庵を押し出されるような事があれば、意識的に、食を絶って、放哉、死にます……」(尾崎放哉)、 「何故かうかとなさけなくなり、弱い心を何度も叱り、金かりに行く」(石川啄木)など、 すべてをさらけ出しながらも筆致が光ります。

 

■ 目次

はじめに 末永昭二

1章 泣きつく
太宰治「太宰治の手紙」
尾崎放哉「書簡」
石川啄木「啄木の借金メモ」(宮崎郁雨)
森茉莉「借金」
芥川龍之介「芥川龍之介書簡集」
尾崎一雄「暢気(のんき)眼鏡」
内田百間「書簡」
太宰治「悶悶日記」
国木田独歩「破産」(国木田治子)
北杜夫「或(あ)る生」
木山捷平「酔いざめ日記」
内田百間「無恒債者無恒心(五)」
田村隆一「青山さん」
大泉黒石「人間開業」

2章 途方に暮れる
樋口一葉「日記」
石川啄木「悲しき玩具」
山之口貘「借金を背負って」
葛西善蔵「子をつれて」
幸田文・徳川夢声「問答有用」
木山捷平「北京の借金」
芥川龍之介「芥川龍之介書簡集」
赤塚不二夫「新漫画党の仲間たち/寺田ヒロオ」
山本周五郎「青べか日記」
林芙美子「放浪記」
橘外男「或る百万長者と文士の物語」
戸川残花「史談会速記録」
大宅壮一「現代借金論」
葛西善蔵「貧乏」
松林伯円「松林伯円(経歴談)」

3章 踏みたおす
川端康成「借金の名人・川端康成の金銭感覚」(梶山季之)
坪田譲治「借金について」
勝海舟「清話の調べ(31・10・23)」
吉行淳之介「天ぷら屋の借金」
井原西鶴「門柱も皆かりの世」
田中小実昌「西荻窪の借金」
斎藤緑雨「作家苦心談」
種田山頭火「其中(ごちゅう)日記」
小池重明「アマ名人となる」(団鬼六)
草野心平「借金の証文」
池田満寿夫「池田満寿夫 ぼくから借金した唯一の男」(田村隆一)
古今亭志ん生「震災前後」
薄田泣菫著「天文学者」
壺井栄「苦労のご破算」
正岡子規「正岡子規」(夏目漱石)
山口瞳「リカ王」

4章 開きなおる
葉山嘉樹「集金人教育」
坂口安吾「詩境と借金」
室生犀星「借金の神秘」
河盛好蔵「借金」
辻潤「ふもれすく」
草森紳一「世にいう「生活」などとはとっくに無縁となっている」
桂文治「掛け取り」
色川武大「宿六・色川武大」(色川孝子)
尾上菊五郎「借金」
佐多稲子「借金の感じ」
竹内浩三「金がきたら」
山口瞳「借金もまた財産なり」
青山二郎「青山二郎の話」(宇野千代)
武者小路実篤「遺言状」
内田百間「無恒債者無恒心(四)」
久米正雄「小鳥籠」
豊島与志雄「程よい人」
十返舎一九「借金を質に置く文」

5章 貸す
夏目漱石「書簡」
尾崎士郎「借金について」
渋澤敬三「借金を返した話」
夢野久作「近世快人伝」
吉行淳之介「また辛き哉(かな)、紳士! 」


■ 解説 荻原 魚雷(おぎはら・ぎょらい)
1969年三重県生まれ。エッセイスト。
古書に関する作品が多く、おもな著書に「古本暮らし」(晶文社)、「本と怠け者」(筑摩書房)、「閑な読書人」(晶文社)、「日常学事始」「古書古書話」(ともに本の雑誌社)。
編著には「吉行淳之介エッセイ・コレクション 1 (紳士)」(吉行淳之介著)シリーズ他。