書 籍

方丈社書籍

世界の[下半身]経済がわかる本 ~データで読み解くセックス産業の舞台裏

門倉貴史 著
四六判並製 240頁
定価:1,500円+税
ISBN:978-4-908925-14-6
ブックデザイン:寄藤文平(文平銀座)+杉山健太郎 http://bunpei.com/

 

世界の[下半身]経済がわかる本
データで読み解くセックス産業の舞台裏
下半身の蠢きは、世界を潤す。
本書は、人間の奔放すぎる「下半身」を通奏低音として、日本経済と世界経済を見つめた異色のエンタメノンフィクションです。セックス産業の驚くべき収益システムのからくり、合法、非合法の業界で働くセックスワーカーたちの収支バランスの実態などを、気鋭のエコノミストが最新データをもとに分析、解明します。
たとえば、日本の性風俗関連産業の市場規模(7兆6636億円)は、国が負担する公務員の人件費(7兆8805億円・2017年度当初予算)に匹敵する。日本のデリヘルのマーケット(1兆8481億円)は島根県の県内総生産(1兆7676円・2013年度)をしのぐ。日本が同性婚を合法化すると、結婚市場は510億円上積みされる。リオ五輪期間、選手が使ったコンドームは1日平均2.5個……。
統計データがほとんど整備されてないこの下半身業界を、著者の門倉貴史さん独自のフィールドワークとデータ収集で明らかにします。もちろん、ただの市場解説書ではなく、セックス産業で働く女性たちの内面にも迫り、その生活の実態にも探ります。

 

 編集者からひとこと

ニューハーフ専門性風俗店の市場規模(156.5億円)は、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手の7年間の契約額(160億円)に匹敵する。日本のAV女優数(約7500人)は、絶滅危惧種に指定されているスマトラ・オランウータンの推定個体数(約7300頭)に匹敵。アダルトショップの市場規模(2093億円)は、栃木県宇都宮市の2017年度一般会計当初予算(2015億円)に匹敵する……。こんな、生活に何ひとつ役に立たないすばらしい下半身事情が、これでもかと出てきます。しかも、門倉さんの当意即妙な「匹敵」ネタで、想像つかないお金の規模やカラクリがすっと腑に落ちたりと、読み終わるころには「もうひとつの世界のしくみ」がわかってきたりする実は役に立つ一冊です。

 

目次

第1章 開発途上国とセックスツーリズム
セックスツーリズムからの脱却を目指すタイ
フィリピンで1万2000人以上の女性を買春していた中学校の元校長
ロリコン男性の性地だったカンボジアのスワイパー村
2020年には2兆円市場!中国で急拡大する「大人のおもちゃ」市場 
規制強化で消滅したマカオの「回遊魚」 
北朝鮮では生活に困窮した女性の売春で性病が蔓延
インドのレイプ事件による経済損失は年間6598億円に
男性天国の秘境、メキシコのティフアナ 
リオ五輪でおおいに潤ったブラジルの性風俗産業
経済危機で急拡大するウクライナのセックス産業
ケニアのナイロビは「世界の三大性地」のひとつ
ナイジェリアで暗躍する「ブードゥー教売春組織」


第2章 先進国は性風俗産業にどのように対峙しているのか?
売春規制に関して北欧モデルを採用したフランス
「飾り窓」の賃貸ビジネスが始まるオランダ
ヨーロッパで性風俗産業が最も発達しているスペイン
世界で最も罪深い1マイル
相次いで「セックス税」を導入するドイツの各都市
ドイツで大人気の新しい性風俗「FKK」とは? 
米国『プレイボーイ』誌がヌード写真を復活させた理由とは?
米国のAV業界で広がる性感染症
ラスベガスでの売春は違法 
韓国で暗躍する「バッカスおばさん」とは?


第3章 下半身ビジネスのクールジャパン戦略
日本のAV市場は年間1037億円 
AV女優のギャラは下落傾向 
イリオモテヤマネコよりも少ないAVのトップ男優 
シニア向けと女性向けのAVが人気
コンドーム需要の回復をもたらした中国人の爆買い
業務用ローションでは圧倒的なシェアを持つ「ペペ」 
ラブドールがシニア男性の間で大人気 
アダルトショップの市場規模は栃木県宇都宮市の一般会計予算に匹敵 
性欲のあるシニア男性がバイアグラの市場拡大に貢献
日本のLGBT層の消費マーケットは約6兆円!
ニューハーフが夜のビジネスで稼ぎだす金額は年間200億円
腐女子がハマるボーイズラブの市場規模は220億円!

 

第4章 日本のセックス産業最前線
トルコ風呂の名称変更に一役買っていた小池百合子
ソープランドのカラクリ
ソープランドは目立ちすぎてはいけない
プロ意識がなければソープランド嬢はつとまらない
ソープランドの市場規模は年間9134億円 
電車の乗り換えができるイメクラ 
急成長するデリバリーヘルス業界
鳥取県の経済規模を超えるデリヘル市場
デリヘル規制の強化で未成年の派遣は困難に
価格競争の激化でついに2000円未満のピンクサロンが登場!
倒錯したオナクラの世界
衰退が続く日本のストリップ劇場 
ラブホテルの起源は江戸時代の「出会い茶屋」
「バナナとドーナツ」という名前のラブホテル
中国人観光客が日本のラブホテルに感動
SMバーは本当にきたならしいところなのか?
中高年男性に人気の「回春エステ」や「M性感」の市場規模は年間200億円!
浄化作戦で消滅した神奈川の「ちょんの間」
料亭の体裁をとっている飛田新地の「ちょんの間」
年間8億円!「ぼったくり」被害が増加している背景とは?
社会問題化する「JKビジネス」
女子高生が折り鶴を折る「JK作業所」
「JKビジネス」の市場規模は年間799.3億円
遊ぶお金欲しさから「JKビジネス」の世界に足を踏み入れる女子高生


第5章 下半身経済と「ウーマノミクス」
主婦の間で流行する「マミーポルノ
「レンタル彼氏」のリピート率は5割!
40代マダムの間で人気の性感マッサージ
アダルト系パーツモデルで稼ぐ女性が増加
セクシーボイスの女性にはアダルトボイス販売の副業がおススメ
熟女キャバクラの人気の秘密とは?
「朝キャバ」や「昼キャバ」で働く既婚女性が増加
マイナンバー制度導入でキャバクラ嬢が姿を消す?
マイナンバー制度導入が性風俗産業に及ぼす影響とは?

おわりに
売春は合法化すべきなのか?

 

 

◆著者 門倉貴史(かどくら・たかし)

エコノミスト、経済評論家 
71年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、(社)日本経済研究センター、00年シンガポールの東南アジア研究所(ISEAS)ほかを経て、05年BRICs経済研究所代表。専門は先進国経済、新興国経済、地下経済、労働経済学、行動経済学と多岐にわたる。同志社大学大学院非常勤講師。日本で初めて地下経済の研究に取り組み、ワーキングプアの啓蒙書も多数発表。09年12月からは、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)でも活躍中。著書に『お父さんのための裏ハローワーク』(方丈社)、『本当は嘘つきな統計数字』(幻冬舎新書)、『中国経済の正体』(講談社現代新書)、『人妻の経済学 日本経済を動かす125兆2490億円マーケットの秘密』(プレジデント社)、『日本人が知らない「怖いビジネス」』(角川oneテーマ21)ほか。