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これから出る本

もらいうつ

髙橋 一志 著
四六判並製・200頁
定価:1,500円+税
ISBN:978-4-910818-44-3

2026年9月1日発売

 

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うつ病は、人に「うつる」ことがあります。

といっても、もちろん感染症のようにうつるという意味ではありません。家族やパートナー、親子、職場の上司や同僚など、「心の距離」が近い人の苦しみに寄り添い続けることで、自分まで心身の不調に陥ってしまうことがあります。

本書では、「健康であった人が、うつ病の人と時間や場所を共有したことでうつ病になってしまうこと」を「もらいうつ」と定義しました。精神科医として数多くの患者や家族、企業のメンタルヘルスに携わってきた著者が、その実態と予防法を豊富な臨床事例をもとに解説します。

産後うつになった妻を支える夫、うつ病になった母親を支え続けた娘、休職した社員の業務を引き継いだ同僚、部下の相談に親身になりすぎた上司など。本書には「誰かを支えよう」とした結果、自分までうつ状態に陥ってしまった人たちの実例が数多く登場します。

「もらいうつ」は、家庭だけで起こるものではありません。産後うつ、職場でのメンタル不調、介護、不登校、8050問題、更年期など、現代社会には「心の距離」が近いからこそ生じる心の負担があふれています。相手を思いやる気持ちが強い人ほど、自分の不調に気づかないまま無理を重ね、気づけば「支える人」まで疲れ果ててしまう。そんな見過ごされがちな現実に光を当てます。

また、著者は「うつ病の原因を一つに決めつけることはできない」と言っています。家庭や職場、人間関係、本人の気質など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症するからこそ、「犯人探し」ではなく、その人を取り巻く状況全体を理解することが回復への第一歩になるのです。

さらに本書では、「どんな人がもらいうつになりやすいのか」「なぜ共倒れが起こるのか」を心理学・精神医学の視点からひも解きながら、ストレスマネジメント、睡眠や食事などの生活習慣、感情との向き合い方、相談先の活用法など、今日から実践できるセルフケアを具体的に紹介しています。

うつ病は、本人だけの病気ではありません。支える人が心の健康を保つことは、自分自身のためだけでなく、大切な人の回復にもつながります。

「もらいうつ」という新しい視点から、うつ病との向き合い方を見つめ直す。家族やパートナーはもちろん、管理職、人事担当者、医療・福祉・教育関係者、介護や子育てに携わる方など、「誰かを支える立場」にあるすべての人に読んでいただきたい実践書です。

 

 

■ 目次

まえがき ─自分まで「うつ」にならないために─

第Ⅰ章 「うつ」は「うつる」のか


「もらいうつ」とは
「うつ」は「うつる」のか
幸せいっぱいのはずの産後女性が……
産後女性の死因、ダントツ1位は自殺
産後うつは母親だけの問題ではない
やはり「うつはうつる」
一緒に暮らしている家族も不調になる
家族対象の講座があるという事実
家族を応援することには意味がある
「家で安らげない夫」をサポート
夫のアプローチは正しかったのに……
環境因を説明し、薬を処方
二か月後に現れた夫の変化
家族サポートは患者にもプラス効果をもたらす
メンタル疾患は生活に大きく影響する
正しい治療を受ければ、うつ病は回復する
うつ病は治りやすいほうの病気
負のスパイラルが家庭に蔓延すると……

第Ⅱ章 職場にもある「うつはうつる」現象

うつっぽい社員が発する負のエネルギー
職場でのうつのうつり方
職場の空気がよどむと、負のスパイラルが生まれる
社員のうつ病対策は、企業経営の安全保障
職場以外の要因でうつ病になることもある
ある企業の人事担当者の困りごと
母親由来の「もらいうつ」で休職
うつ病の原因を一つに特定するのはNG
原因と結果の順番が真逆の場合もある
もらいうつ事例❶最初は後輩社員の相談に乗っただけだったのに……
もらいうつ事例❷休職者の業務を引き継いだ人までうつ病に……
もらいうつ事例❸「大丈夫」「まだできる」と言っていたのに……

第Ⅲ章 うつになりやすい人

看病疲れは「うつのもらいどき」
「うつをもらいやすい」人たち
うつ病は「気持ちの近さ」で感染する
患者さんとの信頼感は、治療の効果に影響する
医師にとってメンタル面の健康維持は必須事項
ギャンブルが先か、うつ病が先か
遺伝要素もある「うつ病のかかりやすさ」
うつ病を引き寄せやすい気質
メンタル疾患と遺伝要因
リストカットは「自ら行う治療的行為

第Ⅳ章 なぜ「もらいうつ」になるのか

「もらいうつ」と「共感疲労」
寄り添い疲れの徒労感が原因で「もらいうつ」に
「期待外れ感」は大きなダメージになる
多くのうつ病患者は、うつ病初体験者
「寄り添っている人」が、気づけば「責める人」に
自責的から他責的に変わるとき
「8050問題」と「もらいうつ」
「8050問題」と「不登校児」の家庭の共通点
不登校児の親と「もらいうつ」
心の様相も空気感染する
なぜ不登校になってしまうのか
神経発達症も不登校の原因になる
介護の親由来の「もらいうつ」
介護うつを避けるには
孝行息子がうつっぽくなった
なぜ女性のうつ病罹患率は男性の二倍なのか
更年期はうつ病の要注意期間
過度に親身になってしまうと……
バランスの大切さ
度を過ぎた責任感の強さが仇になる
コミュニケーションにはギャップがつきもの
抱え込み過ぎがうつを呼び込む
「mustthinking」は精神疾患を招きやすい
「大学卒業に五年かかった」で母親がうつ病に

第Ⅴ章 「もらいうつ」から身を守る

心の病気は自覚するのが難しい
まず病気についての知識を持ってもらう
気についての知識があれば、躓きを回避できる
うつ病に対する知識は自分の身を守る防衛手段
うつ病を知り、自分の特質を知れば……
なぜうつ病に気づかないのか
心の距離の近さが「もらいうつ」を招く
近づきすぎず、離れすぎず
第三者の相談窓口活用で心の負担を減らす
ピアサポートでうつ病の共倒れを回避する

第Ⅵ章 「もらいうつ」予防の日常対策

うつ病とは、脳内神経伝達物質のバランスが崩れた状態
抗うつ剤、二つのアプローチ
人間関係由来のストレス
喪失体験・環境の変化由来のストレス
ストレスに弱い人の特徴
もらいうつ予防対策①▼▼▼自分の特性を理解しておく
もらいうつ予防対策②▼▼▼セロトニンの分泌を促す生活習慣を心がける
もらいうつ予防対策③▼▼▼ストレスをマネジメントする
・睡眠をとって体を休める
・感情を書き出す
・感情をリセットする
・自分の気持ちを話す
・ピアサポートを利用する
・「〜しすぎ」に注意する
もらいうつ予防対策④▼▼▼積極的に摂りたい食べ物

あとがき ─うつ病に対する知識が高まることを願って

 

■著者 髙橋 一志(たかはし・ひとし)
東京女子医科大学准教授、医学博士。 1969年、秋田県生まれ。秋田大学医学部医学科卒業。秋田大学医学部精神科入局。横手興生病院、由利組合総合病院などを経て、Emory University School of Medicine に留学。帰国後、東京女子医科大学神経精神科に勤務。現在、東京女子医科大学八千代医療センター心身医療科科長。日本医師会認定産業医として、働く人の健康を守り、安心して働ける職場環境づくりにも力を注いでいるほか、2025年7月から神田室町こころクリニックでも診療にあたっている。