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これから出る本

國體とは何か

佐藤健二 著
四六判並製・296頁
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-910818-40-5

2026年7月22日発売

 

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世界的にグローバル化が進み、大量の移民流入によって生じる問題が日々大きく取り沙汰される今、「国の本質とは何か」「主権とは何か」という点について改めて議論が求められる時代となった。歴史・伝統・文化を踏みにじり、利益の最大化のためにすべてを一元化せよと猛威を振るうグローバリズムの前で、皇位継承問題も危機的状況にある。喫緊の課題として「国民国家の本質を守りつつ、何に対して門を開かねばならないか」が問われているとも言える。この状況は、幕末に日本が攘夷か開国かを迫られた時とも酷似している。

「日本とは何か?」幕末、この問いに応えようと苦吟し、かつ躍動し、その後の国家建設に最も大きな影響を与えた人物の一人が吉田松陰だった。その松陰が獄中で最後まで求め続けた本こそ、素行の手になる『中朝事実』だったのである。著者は江戸前期の思想家で山鹿流兵法の始祖・山鹿素行。松陰は山鹿流兵学師範であった。江戸前期、幕閣を頂点とする官僚支配階層は、朱子学を価値軸の中心に置くことで「武による支配から文による支配への転換」を目論んだ。朱子学的な厳格な知識・序列だけを日本の支配原理とするためである。エリートによる机上の支配構造。だがそれは、中国こそが永遠に日本の師であり続けること、我が国が中国に対して、知的にも従属し続けることを意味していた。

これに疑問を抱いたのが山鹿素行だった。素行の時代、中国大陸の地では、まさに明から清への王朝交代・易姓革命が起きていた。漢民族が女真族に王朝を奪われ、それまでの伝統や文化、旧体制が破壊しつくされているとの情報をつぶさに得ていた素行は、ならば彼の国はすでに「中華」などではない、悠久の歴史の中で一度たりと王朝交代のない我が国こそを「中朝」とすべきと考えたのである。

素行は『日本書紀』に立ち返り、やがて万世一系の皇統に導かれてきた我が国の本質を見きわめる。神代から続く自然との合一・尊崇の念、そして皇室と民との一体化こそが我が国の本質だとの確信を得る。そしてそれこそが、幕末の後期水戸学・曾澤正志斎が『新論』において國體と定義し、吉田松陰が希求し、やがて乃木希典大将へと引き継がれていく、かけがえのない「日本の姿・原点」だったのである。

AI革命が迫り、グローバリズムの暴風が吹き荒れる中、日本人が守るべきアイデンティティが問われている。日本とは何か? 日本人の生きる道とは何か? 自国民のみが他を睥睨すればそれでよいというエスノセントリズムとは違う、より公正で慈愛に満ちた振る舞いを実現しうる人たち。それが日本人なのではないのか? そしてその中心には、常に象徴としての皇統が神代以来、安定して鎮座している。古き神話の世界と最先端科学が矛盾しない、無二の存在。これが、未来へと続く日本の不変の國體なのである。

「激動期を迎えた世界の中で、臨機応変に対応すべきもの、そして変わらざるものを理解し、先祖と自然への尊崇を失わぬ日本の価値を再発見すべきではないのか」その問いかけこそが、本書における著者の本旨なのである。

 

 

■ 目次

はじめに

第一部  山鹿素行が『中朝事実』で発見した日本の本質とは


一 『中朝事実』執筆に至る動機
1 天才兵学家・山鹿素行は、なぜ江戸幕府から罪人とされたのか?
  幕末を生きた吉田松陰が師と仰ぎ、追い求めた素行の思想と『中朝事実』
2 素行思想の出発点
3 「皇統」を主題とした『中朝事実』の執筆を始めるまで
4 神話の中にこそ、我が国の本質があることの再発見
5 儒学という軛を断ち切る──朱子学批判
6 漢籍の呪縛から離れ、『書紀』の中に「日本独自の本質」を発見する
7 「古学」の方法による神話解釈

二 『中朝事実』自序──神代から現代まで
1 素行が発見した「日本」
2 神代から一系で続く皇室の姿

三 「天先章」
1 「恒中之義」こそ我が国の皇統の本質
2 神々の出現

四 「中国章」
1 チュウゴクではなく、「なかつくに」
2 国土生成と象徴としての矛
3 我が国の「中心の柱」としてのオノコロ島
4 チャイナでなく、日本こそが「中国」であるという理由
5 国家としての形が整ってくる

五 「皇統章」
1 天照大神の誕生
2 天孫降臨の意義──三大神勅
3 天皇即位

六 「神器章」
1 なぜ、矛が神器の始まりだったのか
2 三種の神器について

七 「神教章」
1 人間の出産は未熟であること
2 イザナキ・イザナミ結婚の意義
3 素戔嗚尊の高天原追放
4 天岩戸神話
5 「天神問学」──問うことの意義
6 文字の学び
7 我が国における神の教え

八 「神治章」
1 天壌無窮の神勅
2 国造り
3 八紘為宇の詔
4 封建制と郡県制
5 高天原で天照大神が田を耕し衣を織っていたこと
6 「民のかまど」──仁徳天皇の仁政

九 「神知章」
1 天の石岩戸神話の意味
2 我が国の決済システムは神代から独断でなく衆議でなされていた
3 優れた才能を登用することの難しさ

十 「聖政章」──神代から人代へ

十一 「礼儀章」
1 「礼」の始まり
2 伊弉諾・伊弉冉尊による「我が国の礼」──日本的秩序の創出
3 秩序破壊の神としての素戔嗚尊
4 氏姓の乱れを正す
5 聖徳太子「十七条憲法」制定の意義
6 皇太子には良き指南役が必要
7 「礼」と「楽」
8 なぜ、日本人は和歌による表現をするのか
9 礼儀の道とは

十二 「賞罰章」
1 伊弉諾・伊弉冉尊の御子神について
2 天つ神による賞罰の始まり
3 天皇による初めての賞
4 賜姓の始まり
5 賞罰の効用

十三 「武徳章」
1 伊弉諾・伊弉冉尊による武徳
2 天照大神の武徳──武の備え
3 神武天皇の武徳
4 選将の難しさ
5 神功皇后の武徳

十四 「祭祀章」
1 『中朝事実』の全体像中における意味
2 神が神を祀る
3 宗廟こそ神籬である
4 宮殿と神殿の分離
5 内宮の起源
6 外宮の起源
7 祭祀の誠について

十五 「化功章」
1 崇神帝時代の帰化人たち
2 応神帝時代の帰化人たち

第二部 戦後日本國體論の変遷

一 明治維新及び戦後復興の奇跡
二 後期水戸学・會澤正志斎『新論』執筆の契機
三 『新論』の構成
四 現代に通じる『新論』の國體論
五 君民一体であることこそ國體
六 江戸時代以前からあった朝廷の西洋グローバリズムへの危機意識
七 國體の維持と天皇の叡慮
八 世界史における日本の孤独な戦い
九 米国との戦いと昭和天皇の御聖断
十 國體の本源は神話にあり
十一 吉田松陰・國體への目覚め
十二 国防論としての『新論』の國體論
十三 松陰から乃木希典へ──–國體論の継承
十四 「みことのり」(宣命)に登場した國體
十五 明治天皇による國體の表明
十六 昭和の國體論──天皇機関説問題と國體明徴運動
十七 戦後の國體思想に対するタブーへの挑戦
十八 『國體の本義』が問題とした「個人主義」
十九 西洋と日本の人間観の相違──個をめぐって
二十 「人と人との間」として生きる日本人
二十一 國體思想に見る天皇の魂の継承、神宮の「いのち」の継承

 

■著者 佐藤 健二(さとう・けんじ)
詔勅研究家。駒場東邦中学高等学校元教頭。日本教師会副会長(東京都教師会会長)。素行會(山鹿素行研究会)代表。みことのり普及の會副会長。川崎正論の会会長。
1949年(昭和24年)東京都生まれ。國學院大學文学部で国文学専攻後、同大学院にて神道学を専攻、1977年博士課程修了。駒場東邦中学高等学校国語科教諭を務め、2011年(平成23年)に教頭で退職。著書に『民族と文化の発見』(共著・大明堂)、『神の歌びと フランシス』(日本教文社)、『家庭教育の再生』(共著・学事出版)、『日本人を育てた物語』(編著・錦正社)、『時代を動かした天皇の言葉』(共著)『失ひし父祖の記憶を求めて』(共にグッドブックス)等。