書 籍
グリーフケアとアウトリーチ

金田諦應・本郷由美子 著
四六判並製 240頁
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-910818-30-6
グリーフケアとは「グリーフを抱えた方々に、心を寄せて、寄り添い、ありのままに受け入れて、その方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援すること」 大切な人や身近な存在を亡くし、深い哀しみの中で苦しむ人にどう向き合うべきか。東日本大震災を経験し、被災者の心のケアにあたり、移動傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」を主宰する金田氏。池田小児童殺傷事件で突然に愛娘を失い、グリーフケアと出会ったことでみずからも救われた経験から、現在はグリーフケアを広める活動をしている本郷氏。ふたりがグリーフケアの本質を語り合う。
著者の2人は、どちらも深いグリーフ(かなしみ)の経験者で、自分と同じような人を救いたいという切実で純粋な動機でグリーフケアの道を歩み始めました。グリーフケアとはなんなのか。またグリーフケアにおけるアウトリーチの重要性についてなど。本書を読めば本当のグリーフケアが理解できるはず。
■ 目次
まえがき
Part1 使命を支えにして———金田諦應
カフェ・デ・モンクとグリーフケア
そして、その時が来る・・・・・・
満天の星空——落ちてきた宇宙の真理
読経ボランティア
凍りついた心——泣くことができない遺族たち
四十九日追悼行脚——崩壊する自己
震災以前の社会
運命の出会い
カフェ・デ・モンクの活動目的
アウトリーチ型傾聴活動
名前の由来と想い
ホッとする場所 カフェ・デ・モンク
厳しい場所にこそ遊び心を
カフェ・デ・モンクの約束事
悲しみの場に留まること
一周忌行脚——落ちてきた真理
アウトリーチするグリーフケア
場に仕掛ける——心を開くツールの活用
病気自慢
一通の手紙 由紀さんの話①
津波にさらわれた息子 由紀さんの話②
離婚、独居、そしてリストカットの日々 由紀さんの話③
「虎徹地蔵」と一枚の絵 由紀さんの話④
五年目の再開 由紀さんの話⑤
「私の体験を話したい」 由紀さんの話⑥
聞き続ける傾聴の場
「立ち話」「通りすがりケア」
傾聴はオープンでカジュアルな会話から
傾聴は自分自身を知ること
共感疲労とセルフケア
「私の仕事は神様から与えられた使命」
Part2 再び前を向いて歩き始められるように———本郷由美子
グリーフケアからアウトリーチへ
予期せぬ事件
七色の虹
アメリカからの手紙
私に起きた二つの変化
かなしい思いをしている人に寄り添う一人になりたい
「かなしみ」「悲しみ」「哀しみ」「愛しみ」
グリーフケアとしての「遺志の社会化」
加害者も最初は被害者だったのかもしれない
存在を否定されて育った犯人
憎しみからは何も生まれない
クロノスとカイロスという二つの時間
上智大学グリーフケア研究所に学ぶ
「グリーフケアパートナー歩み」を開設
グリーフケアライブラリーを作りたい
本はグリーフを癒す「魂の薬」
「ひこばえ」は優希との思い出の言葉
「そのひとらしいひこばえ」が芽吹くように
アウトリーチの必要性を広める
グリーフケアとは支援であり、サポートである
グリーフケアとスピリチュアルケア
ピアサポートの有効性
私を救ってくれた「アウトリーチ」
「二・五人称の視点」を持つこと
ケアの対象者に敬意を払う
無力さの自覚から生まれる信頼関係
ケアの繋ぎ役になろう!
本当に大切なものは心の奥にある
Part3 ケアをもっと身近なものに———金田諦應・本郷由美子
ケアとは一緒に色をつけていく共創アート
苦しみの連続の人生を共に歩む
悲しみがあるから繋がることができる
相手の気持ちは空気間でつかめる
ケアはライブの即興演奏
答えが落ちてくるのを待つ
ケアをしてあげようと意気込んではいけない
ケアとは一緒に色をつけていく共創アート
私自身が受けたグリーフケア
傾聴はノージャッジメントでホリスティックに
「理解する」ではなく、「感じる」「鏡になる」という感覚
グリーフケアの目的は「問題解決」ではない
癒しの装置としてのお葬式
アウトリーチでケアを知ってもらう
セーフティネットとしてのアウトリーチ
言葉の奥にあるものを読み取る
資格を持っているだけではケアはできない
ケアにはゴールはない
あとがき よりよい伴走者として
■著者 金田諦應(かねた・たいおう)
1956年、宮城県生まれ。曹洞宗通大寺住職。駒澤大学仏教学部卒業。同大学院修士課程修了。傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」を主宰し、東日本大震災の被災者の心のケアにあたる。著書に『傾聴のコツ 話を「否定せず、遮らず、拒まず」』(三笠書房)、『東日本大震災 3.11 生と死のはざまで』(春秋社)がある。
■著者 本郷由美子(ほんごう・ゆみこ)
「グリーフパートナー歩み」「下町グリーフサポート響和国」グリーフケアライブラリー「ひこばえ」各代表。精神対話士、社会福祉士。2001年に大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件で、当時小学校2年生だった愛娘を亡くす。翌年グリーフケアと出会い、心のケア活動を開始。多様なかなしみに寄り添う活動のほか、グリーフケア・グリーフサポートを広める講演や研修、いのちの重さ・大切さを伝える講演や授業を行っている。著書に『虹とひまわりの娘』(講談社)、『かなしみとともに生きる~悲しみのグラデーション~』(主婦の友社)がある。



