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これから出る本

飛鳥幻想

戸矢 学 著
四六判並製 400頁
定価:2,500円+税
ISBN:978-4-910818-27-6

2025年7月23日発売

 

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聖徳太子(厩戸王)で始まり、天武天皇(大海人皇子)で締めくくった飛鳥という時代。新しい日本を誕生させた原動力が、なぜ飛鳥のような辺鄙で狭矮な盆地であったのか。

『万葉集』に登場する奈良県の地名は総数約900にのぼる。しかもそのうち200以上が飛鳥に集中している。つまり、『万葉集』にもとづいて大和の地を訪ねれば、必然的に飛鳥を訪れることになる。それほどに飛鳥は昔の日本人にとっては重要な場所であり、憧れの土地であったのだ。しかし、その飛鳥が古代日本の政治的中心地であったのはわずか100年。しかも飛鳥は狭矮な盆地で、当時は辺鄙なところだった。誰が何のために飛鳥という地を選んだのか。

中学・高校の日本史でもさらりと扱われる程度にもかかわらず、「日本人の心のふるさと」として観光スポットでも人気の飛鳥にまつわる謎を深掘りする。

 

 

■ 目次

まえがき

第一章  飛鳥を導いた厩戸王


女帝、誕生
「太子伝説」の真偽
「日出ずる処の天子」とは誰のことか
なぜ斑鳩宮へ転居したのか
厩戸王、死す
厩戸王の「全発言録」
「十七条憲法」の本当の作者は誰か
厩戸王・聖徳太子を祀る神社
ゆかりの地、太子町
大罪人・山背大兄王
救世観音像は聖徳太子ではない
厩戸王の遺言が示唆するもの

第二章  未来都市・飛鳥へ

不可思議な飛鳥の石造物
斉明帝の「土木工事道楽」
渡来人は飛鳥を目指す
東漢氏らによって伝来した資料

第三章  飛鳥と蘇我氏

蘇我氏と都邑と偶像崇拝
蘇我氏の由来
『日本書紀』が消し去った蘇我氏の出自
消された名
蘇我氏という氏族名とその氏神
出雲大社を監視する「素鵞社」とは
渡来の呪術
「スサノヲ」の語源

第四章  聖地・飛鳥の発見

「あすか」考
こうして「須賀」は聖地になった
阿須賀神社の起源
聖地・アスカを発見した蘇我氏
飛鳥の思想原理となった「陰陽五行」
飛鳥の神社が示唆すること
そして飛鳥は「聖地」になった

第五章  呪術都市・飛鳥

飛鳥をつくった煉丹術
高松塚古墳と蘇生の呪術
天地鳴動を知る呪術
飛鳥の信仰と偶像崇拝
照葉樹林と神道信仰
「天円地方」という道教の世界観
不老不死を目指した「皇帝の祭祀」

第六章  女性天皇と飛鳥

「乙巳の変」の真相
「天皇外戚」という問題意識
鎌足の運命
藤原氏の本性
謎めく天智天皇の死
「暗殺説」のゆくえ
「祟り神」からのメッセージ
蘇我氏の功績
飛鳥は「天文遁甲」を政治の原理に採用
政変に見せる東漢氏の実力
天武帝の正当性について
諱「大海人」の由来
天武帝が志向した理想郷……飛鳥から未来へ

あとがき
飛鳥時代関連年表
参考資料/参考自著

 

■著者 戸矢 学(とや・まなぶ)
1953年生まれ。埼玉県出身。歴史作家。埼玉県立熊谷高等学校、國學院大學文学部神道学科卒業。
主な著書に、『縄文の神が息づく 一宮の秘密』『神々の子孫 「新撰姓氏録」から解き明かす日本人の血脈』『熊楠の神 熊野異界と海人族伝説』(以上、方丈社)、『スサノヲの正体 ヤマトに祟る荒ぶる神』『古事記はなぜ富士を記述しなかったのか 藤原氏の禁忌』『鬼とはなにか まつろわぬ民か、縄文の神か』『決定版 ヒルコ 棄てられた謎の神』『アマテラスの二つの墓 東西に封じられた最高神』『オオクニヌシ 出雲に封じられた神』『縄文の神 よみがえる精霊信仰』『三種の神器 〈玉・鏡・剣〉が示す天皇の起源』『ニギハヤヒ 「先代旧事本紀」から探る物部氏の祖神』『ヒルコ 棄てられた謎の神』『怨霊の古代史』『氏神事典 あなたの神さま・あなたの神社』『天眼─光秀風水綺譚』『ツクヨミ-秘された神』(河出書房新社)など多数。