BLACKOUT 用語解説

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用語解説

  • 章・見出し ページ 言葉
  • F-1 27p 16ℓ
    アメリカの「郡=county」は、日本の県下の郡とはかなり趣が違う。そもそも各州は独自の憲法を持ち、国のようなもので、その下にある郡もそれぞれのルールを独自に持つことが多い。
  • F-2 29p 16ℓ CDC
    アメリカ疾病予防管理センター。【Centers for Disease Control and Prevention】の略。1946年設立。ジョージア州アトランタに本部を持つアメリカ合衆国連邦政府機関で、健康に関する情報提供と健康増進を主目的とする組織。CDCから勧告される文書は世界共通ルールとみなされるほどの影響力を持っています。
  • F-3 30p 11ℓ 歴史的黒人大学
    【Historically black colleges and universities=HBCU】ほとんどの歴史的黒人大学は、南北戦争後に南部に設立された、アフリカ系アメリカ人学生の教育を目的とした高等教育機関の総称で、多くの場合、北部に拠点を置く宗教宣教師組織の支援を受けています。1867年設立のハワード大学は、ワシントンD.C.にある「黒人のハーバード」とも称され、現在でも全米最高峰の黒人大学の一つ。ノーベル賞作家のト二・モリソンや、バイデン政権における副大統領のカマラ・ハリスはここの卒業生。宣教師のマーティン・ルーサー・キングJr.や、映画監督のスパイク・リーなどはモアハウス大学の出身。詳しくは、
  • F-4 30p 14ℓ ブラウン 対 教育委員会裁判
    【Brown v. Board of Education of Topeka】1954年に合衆国連邦最高裁が行った歴史的裁判。ブラウン判決という場合もあります。合衆国憲法修正第14条の「法の下における平等保護条約」がありながら、1896年のプレッシー対ファーガソン裁判では「分離すれど平等」という判決が出て、人種隔離政策が実質的に続けられていたのですが、ブラウン判決によってこれが覆され、人種統合と公民権運動への大転換をもたらしたとされます。
  • F-5 33p 10ℓ ジム・クロウ法
    【Jim Crow laws】1876年から1964年にかけて存在した、人種差別的内容を含むアメリカ合衆国 南部諸州の人種隔離的州法の総称 。 南北戦争後の再建(リコンストラクション)期に、南部11州は解放された奴隷を抑圧し、「準奴隷」のままにしておこうと「黒人法(Black Codes)」を制定しました。1866年に連邦議会で公民権法が成立し、この「黒人法」は廃止されたのですが、再建期後に連邦政府の干渉が弱まると、南部諸州では次々とジム・クロウ法が制定されていきました。黒人と白人との間の結婚が禁止されるどころか、電車やバスの乗り口や座る席、トイレや水飲み場などもすべて分離され、州によっては異人種が同席できるレストランは営業停止などという措置もあったのです。ワン・ドロップ・ルール(先祖を何代前か遡って黒人の血が1滴でも入っていれば、有色人種とみなす)も適用されていました。そして、黒人のみならず、先住民や日本人を含めた非白人の全てにジム・クロウ法は適用されていたのです。次のNewsweekの記事は、とてもわかりやすくまとめられています。
  • F-6 33p 12ℓ ジャッキー・ロビンソン
    ジャッキー・ロビンソン(1919-1972)は、MLB史上初の黒人選手として知られています(短期的には19世紀末にモーゼス・フリート・ウォーカーという選手が出場していました)。1947年、ドジャース(当時はまだロスに移転する前のブルックリン時代)からメジャーデビュー。新人王や盗塁王2度、首位打者、MVPも獲得した名選手であったのみならず、人格的にもとても尊敬され、後の黒人選手登用のために多大な功績があったとされています。毎年4月15日は、彼の功績を称え、「ジャッキー・ロビンソン・デー」として、MLB30球団の全選手が背番号42(全球団の永久欠番)を着けて全米でプレーします。2022年のこの日は、エンジェルスの大谷翔平選手が背番号42番の姿で、22年シーズンの1号、2号本塁打を打ったことで記憶に新しいところです。こうしたメモリアル・デーの豊富なアイデアは、アメリカという国の魅力の一つではないでしょうか?
  • F-7 36p 3ℓ 全米黒人地位向上協会(NAACP)
    【National Association for the Advancement of Colored People】の略。原語では「有色人種」なのに、ほとんど「黒人」と訳されています。1902年2月21日設立で、全米最古の公民権運動組織の一つ。
  • はじめに I -1 41p 2ℓ 再建派
    南北戦争で北部共和党を中心とした合衆国が勝利したことにより、アメリカ連合国と奴隷制度が崩壊した後の問題を解決しようとする1863年(または1865年)から1877年までの過程を、アメリカ史では再建期(リコンストラクション)と呼びます。再建期時代、南部民主党は奴隷制度や国旗などをはじめ、さまざまなものを失ったわけですが、ここで言う再建派とは、奴隷制度の上に成立していた「南部の持っていたもの」を奪った北部共和党の勢力のことでしょう。詳しくは、
  • はじめに I -2 41p 12ℓ 1877年の妥協
    【Compromise of 1877】内容は、本文に簡潔に書かれているとおり。南部から北軍が引き上げたことで、南部の民主党勢力は復活し、「再建期」は終わりを告げます。アフリカ系アメリカ人歴史家たちは、この妥協を「大いなる裏切り」と呼ぶこともあります。詳しくは、
  • はじめに I -3 44p 3ℓ 1964年の公民権法
    【Civil Rights Act of 1964】人種・民族、皮膚の色、宗教、あるいは出身国を理由とする差別を終わらせることを意図し、1964年に制定された法律。
  • はじめに I -4 44p 3ℓ 1965年の投票権法
    【Voting Rights Act of 1965】奴隷制度廃止後も、南部の「黒人法」や「ジム・クロウ法」など、有色人種の投票に対して不当に高い税が課せられるなど、投票権の平等は全く保たれておらず、1965年3月には黒人による投票を弾圧しようとする「血の日曜日事件」なども起こっていました。この2つの法律にサインしたリンドン・ジョンソン大統領は極めて高い評価を受けたわけですが、実態がどうだったかは本文をお読みいただくとして、この法律に関するもう少し詳しい説明は、
  • 1章 保守主義について 1−1 55p 4ℓ 分離主義
    ここでは人種隔離政策と同義です。
  • 1章 保守主義について 1−2 61p 9ℓ グリッツ
    粗挽きのトウモロコシを水やお湯に溶かしたもので、こんな食べ物です。
  • 2章 家族について 2−1 95p 16ℓ BLM(ブラック・ライブズ・マター)
    正式には【Black Lives Matter Global Network Foundation】と言います。アリシア・ガーザ、パトリッセ・カラーズ、オーパル・トメティという、マルクス主義のトレーニングを受けた人たち(それぞれの自伝によると)によって呼び掛けられ、広められた運動が基点となった財団で、現在は米国最強の圧力団体の一つと言えるでしょう。ガーザが設立した「ブラック・フューチャーズ・ラボ(BFL)」という組織は、「華人進歩会」という中国共産党と極めて密接な関係にある団体による資金提供によって運営されています。
  • 2章 家族について 2−2 99p 8ℓ 一人前の人間の5分の3の価値しかない
    アメリカで黒人が奴隷として動物同様に売買されていた時代が過ぎた後も、1人の人間としてでなく、5分の3の価値しかないとされていた時代が存在していたことを知る日本人は少ないのではないでしょうか?
  • 2章 家族について 2−3 101p 8ℓ 「偉大なる社会」計画
    【Great Society】暗殺されたケネディ大統領の後任となった、リンドン・B・ジョンソン大統領が「貧困との戦争」を主眼として提唱した「高福祉・教育・医療・住宅」に関する政策。高齢者の医療費を補助する「メディケア」や低所得者の食費を補助する「フードスタンプ(後述)」、低所得者層の幼児の就学を支援する「ヘッドスタート」などが制度化され、折からの経済成長ともあいまって、ジョンソン大統領の名声を高からしめたのですが、その実態はどうだったのか? 本文をお読みいただければ明らかだろうと思います。
  • 2章 家族について 2−4 107p 14ℓ 補助栄養支援プログラムの食糧費補助券
    【Supplemental Nutrition Assistance Program= SNAP】いわゆるフードスタンプ。労働者の3人に1人は、生涯で少なくとも1度受給した経験があるとも言われているそうです。詳しくは、
  • 4章 過剰なる「文明化」について 4−1 148p 15ℓ マルディグラ
    【Mardi gras】フランス語で、「肥沃な火曜日」、謝肉祭の最終日を意味します。カトリックの祝祭の一つで、合衆国南部、とくにニューオリンズのものが有名です。
  • 4章 過剰なる「文明化」について 4−2 169p 8ℓ 慈善団体のグッドウィル
    全米に店舗を持つ、寄付されたものを売る店(非営利団体)。不要になったものを寄付することができるので、まだ使えるものを捨てる罪悪感や、物があふれて処分する罪悪感が薄まる場所という意味合いでオーウェンズさんは書いているようです。
  • 5章 社会主義と政府からの手当てについて 5−1 177p 4ℓ スムート・ホーリー関税
    1929年の大恐慌発生後、1930年6月にフーバー政権が発した超保護主義的な関税法のこと。農産品をはじめ、ほとんどの物品に平均50%を超える高税をかけたことなどで、各国も報復的に関税を引き上げ、他国だけでなく、米国のGDPも2%ほど低下させるなど、世界経済に強い悪影響を与えた失敗政策と評価されています。
  • 5章 社会主義と政府からの手当てについて 5−2 192p 16ℓ 33万5000平方フィート
    これは約31123㎡。と言われてもわかりませんよね? だいたいどのくらいの広さの土地かというと、東京ドームが46755㎡なので、東京ドームのちょうど3分の2ほどの面積に当たります。
  • 6章 教育について 6−1 221p 1ℓ チャータースクール
    従来の公立学校では、学力の向上など改善が期待できない、さまざまな子供たちの教育問題に取り組むため、親、教員、地域団体などが、州や学区の認可(チャーター)を受けて設ける初等中等学校のことです。公費によって運営されます。州や学区の法令・規則の適用が免除され、一般の公立学校とは異なる方針・方法による教育の提供も可能とされるのですが、教育的成果をチャーター交付者により定期的に評価され、一定の成果を挙げなければチャーターを取り消されてしまいます。
  • 7章 メディアについて 7−1 244p 1ℓ フードスタンプ
    補助栄養支援プログラムの食糧費補助券と同じ。2-4参照してください。
  • 7章 メディアについて 7−2 248p 4ℓ 「結束せる南部」
    「堅固な南部」と呼ばれることもあります。1870年代までの「再建期」のアメリカ南部を示しており、南北戦争敗戦後の南部における、民主党支配下の政治状態を示す言葉でもあるようです。
  • 7章 メディアについて 7−3 250p 4ℓ サイクロプス
    黒人ミュージシャンでありながら、KKKと接触し、親交を持ってきたダリル・デイビス氏は、著書の中でKKK内部のヒエラルキーに関して次のように説明しています。
    • インペリアル・ウィザード = 国のリーダー(大統領のようなもの)
    • グランド・ドラゴン = 州のリーダー(州知事のようなもの)
    • グレート・タイタン = 郡のリーダー(郡の行政長官のようなもの)
    • エグザルティッド・サイクロプス = 地区のリーダー(市長や市会議員、市助役のようなもの)
    • 一般メンバー
    •本文内に登場するロバート・バードに関連する記事はこちら。
  • 7章 メディアについて 7−4 251p 12ℓ オープンソサエティ財団
    ハンガリー系ユダヤ人投資家であるジョージ・ソロス(1930~)氏が、1993年に創立した国際的な助成財団。彼がBLMの主要な出資者の1人でもあることはご承知のとおり。
  • 7章 メディアについて 7−5 253p 9ℓ ファーガソン効果
    2014年8月に、ミズーリ州ファーガソンで起きた、警察官による黒人青年射殺事件以来、批判や監視とYouTubeなどでの拡散を恐れた警察官が、厳しい取り締まりを躊躇するようになった結果、犯罪抑止力が弱まり、その結果として、殺人をはじめとする犯罪事件が増加しているという仮説のこと。詳細と関連記事(WSJ日本語記事)はこちら。
  • 8章 言い訳について 8−1 278p 2ℓ 330エーカー
    これは、約1.335k㎡で、およそ東京ドーム28.7個分にあたる広大さ。自己資金ベースで凄いスタジオを作ったものです。
  • 9章 信仰について 9−1 293p 12ℓ プロテスタントの宗教復興期
    キリスト教徒がほとんどと言われつつ、全員が信仰を持っていたわけではなかった18世紀のアメリカで、「信仰復興」や教会の成長のために運動が広まった時期のことで、リバイバルとも呼ばれています。詳しくは、
  • 9章 信仰について 9−2 303p 14ℓ 都市近接低所得地域
    wikipediaの検索語としては、インナーシティが一番近いかと思います。都心の周縁部に生まれる、住宅、商店、工場などが隣接する低所得者層の住むエリアで、郊外立地型のスラムとは区別して考えられるのが普通のようです。
  • 11章 奴隷であるということ 11−1 354p 5ℓ クンバヤ
    【kumbaya】クンバヤの語源は、ガラ【Gullah】人(アメリカ合衆国のサウスカロライナ州とジョージア州の群島および海岸地域に住むアフリカ系アメリカ人) によって話されるクレオール語だったと考えられています。クレオール語というのは、ピジン語(英語と現地語が混合し、現地の母語となった言葉)の一種で、「come by here」が訛って「kumbaya」になったようです。ここで「そばに来てほしい」と願う相手は神様。その思いがゴスペル(黒人霊歌)となり、後にキャンプファイヤーのような集いの場で皆で歌うようになったのです。オーウェンズさんは、左翼たちが言うように、そうした「牧歌的でのどかな場に白人の奴隷商人が踏み込んで拉致した」というのは嘘で、アメリカ先住民の間でも、常に闘争や支配・被支配の関係は存在していたと伝えたいために、象徴的に「クンバヤ」を持ち出したわけで、本当にアメリカ先住民が「クンバヤ」を歌っていたわけではありません。
  • おわりに C-1 401p 9ℓ ストックホルム症候群
    誘拐や監禁などにより、極限的な状況で拘束されている被害者が、加害者と時間や場所を共有することによって、加害者に対して敵意ではなく、好意や共感、さらには信頼や結束の感情まで抱くようになる現象。 1973年、ストックホルムの銀行で2人組の強盗が4人の人質を取って立てこもる事件が発生し、その際の研究から同様のケースを「ストックホルム症候群」と呼ぶようになったようです。映画になったこともあります。