書 籍
影を歩く
小池昌代 著
四六判、上製 168頁
定価:1,600円+税
ISBN:978-4-908925-41-2
ブックデザイン:後藤葉子(森デザイン室)
影を歩く
影という老い、後悔、憎しみ、哀しみ。
逃げてきたものに向き合ったとき、人生が愛おしく思えてくる。
「これが私かって。自分の影もまた、一つの自画像なのよね。
鏡に映った自分には、違和感を覚えることもあるのに、自分の影は何よりも自分という気がして」――「対話 まえがきにかえて」より
影と光とは反意語ではない。影の芯には光があり、光の中に影が翳す。なぜ影に惹かれるのだろう。移ろい、刻々と形を変え、やがては闇の中に溶けてしまう影。影を追いかける、珠玉の短編集。
◆ 編集者からひとこと
影というのは、あえて目を向けなければ通り過ぎてしまうもの、目を背けてしまうものかもしれません。しかし、そこは深淵な世界。哀しみ、後悔、憎悪、無念……といった「自画像」が顔を覗かせます。自分の影こそが「本当の自分」なのかもしれません。影に目を向けるからこそ、次の一歩を力強く踏み出せる。そんな追憶や予感に充ちた珠玉の物語です。忙しい日々で見失ってしまっていることに気づく。そんな新たなアングルで生き方を見つめ直したくなる一冊です。
◆著者 小池 昌代(こいけ・まさよ)
1959年東京・深川生まれ。詩人・小説家。津田塾大学卒業。主な詩集に『永遠に来ないバス』(現代詩花椿賞)、『もっとも官能的な部屋』(高見順賞)、『夜明け前十分』、『ババ、バサラ、サラバ』(小野十三郎賞)、『コルカタ』(萩原朔太郎賞)、『野笑 Noemi』、『赤牛と質量』。小説集には『感光生活』、『タタド』(表題作で川端康成文学賞)、『たまもの』(泉鏡花賞)、『幼年 水の町』など多数。主なエッセイ集に『屋上への誘惑』(講談社エッセイ賞)、アンソロジー詩集に『通勤電車でよむ詩集』『恋愛詩集』『おめでとう』などがある。