書 籍
日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく
日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく
「嫉妬」がなければ今の日本はなかった、かもしれない。
古来、「嫉妬」という単語は女性と関連づけて語られることが多かった。しかし、嫉妬はもちろん、男性にも存在する。むしろ、政治や戦と強くかかわりのあるぶん、男性の嫉妬のほうが、歴史に与えた影響は深刻であった。日本史の世界でも、嫉妬が大きく歴史を動かした事例は、あまた存在した。
本書は、嫉妬が歴史を動かした事件・政争・紛争をとりあげ、その原因と結果を追うことで、感情が歴史に与える影響の大きさ、根深さを示し、「歴史に学び、未来を読む」ための反省材料として、その原理・原則を摑み、大いに活用しようとするものである。
◆目次より
羨望と嫉妬の“本能寺の変”/嫉妬をかわした秀吉/光秀を葬った信長の執念/大化の改新(乙巳の変)も根底は嫉妬/嫉妬心に殺された蘇我入鹿/嫉妬の反射を受ける中大兄皇子/微妙な立場だった北条早雲/冴えに冴えた黒田官兵衛の策謀/信長の構想を破綻させた浅井長政の嫉妬/嫉妬の深浅を計算した前田利家/嫉妬されやすい“へいくわい”石田三成……ほか
◆編集者から、ひとこと
織田信長の明智光秀に対する嫉妬から本能寺の変が始まったように、日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく、と著者の加来耕三氏は言います。なかでも際立つのが男の嫉妬。「大化の改新」は蘇我一族の中の嫉妬から始まり、織田信長からの嫉妬を愛嬌でうまくかわしたからこそ天下をとった豊臣秀吉……。本書にはこれでもかと「嫉妬」が出てきます。「できることなら隠しておきたい」そんなささやかな感情が、じつは歴史を動かすというダイナミックさをご堪能ください。
◆著者 加来 耕三(かく・こうぞう)
歴史家・作家
1958年、大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒業後、同大学研究員をへて、現在は大学、企業の講師をつとめながら、歴史家・作家として独自の史観に基づく著者活動をおこなっている。『歴史研究』編集委員、内外情勢調査会講師、中小企業大学校講師、政経懇話会講師。著書、監修書は多数あり、近著に『図説「生きる力」は日本史に学べ』(青春出版社・青春文庫)、『刀の日本史』(講談社・講談社現代新書)、『歴史に学ぶ自己再生の理論』(論創社)、『性愛と結婚の日本史』(祥伝社・祥伝社文庫)、『家康はなぜ、秀忠を後継者にしたのか』(ぎょうせい・政刊懇談会「第14回ほんづくり大賞」大賞受賞)、『日本武術・武道大事典』(監修・勉誠出版)などがある。